開高健が読んで絶賛した作家と作品群を読んだ感想 名文を書くには名文を読むのが1番

書評

この記事では、開高健が読んで絶賛した作家と作品を読んだ感想を書いています。

名文を書くには名文を読むのが1番、と言われています。

文豪開高健が絶賛した本は、おもしろい本がばかり、そして名文でした。開高健がなにを読み血肉にしたのかがわかります。

開高健は何をどう読み血肉としたか

『オーパー』シリーズに、同行した編集者が書いた本『開高健は何をどう読み血肉としたか

開高健の口からではなく、第三者から見た開高健を知ることができる本。開高健の自宅には、1万冊近くの本があったそうです。たくさんの本を読んでいるだろうなとは思っていましたが、さすが文豪、想像以上でした。

開高健のエッセイ以外であれば、開高健が何を読んだか、いまのところ1番わかる本です。

開高健は、ブックカバーを外し捨ててから本を読みだすと書かれていたので、ブックカバーを外し読みだしました。たしかにブックカバーがないほうが、文庫本が手にミートしますね。ブックカバーは捨てずに保管。開高健ほど太っ腹でなくセコいです。

文章を真似るまえに、形から入りましょう。

開高健は、作者に男たるもの、ジョークの一つも言えないとダメと言われたそうです。ジョーク本を読んで、ジョークを覚えようとしました。開高健の周りには笑いが溢れていたんだろうなと想像できます。

ジンをストレートで飲んでいたときけば、ストレートでジンを飲んでみたり。

ますます開高健が好きになった1冊。本の価格はちょっとお高いです。

開高健のジョークを学ぶのであれば、『 食卓は笑う 』『 水の上を歩く? 酒場でジョーク十番勝負 』がオススメ。

旧約聖書

開高健が『風に訊け』で、無人島に持っていくなら『旧語訳 旧約聖書』と書いていたので勢いで買いました。

読めども読めども、ページなくならず。登場人物が多すぎて覚えれない。朝起きて1~2ページ読むのが精一杯。無人島にこの一冊と流れつきたくないですヨ。

エッセンシャル思考には、朝に読書をするのがよし、さらに名著を読むとよいと書かれていたので、毎朝チョボチョボと聖書を読んでいます。

井伏鱒二

開高健さんは、戦前の小説家では井伏鱒二中島敦梶井基次郎の三人をあげていた。開高健が好きな作家【三銃士】と勝手に命名している。

井伏鱒二は教科書で読んだ『 山椒魚 』『 黒い雨 』しか読んだことがありませんでした。

随筆と短篇小説を集めた『 川釣り

井伏鱒二の文章は、句読点の位置が、絶妙な場所に配置されおり、非常に読みやすい文章だと思いました。古臭くなく、現代でも読みやすい作家さんだなと思います。

エッセイの中でさらっと、太宰治が登場し、一緒に濁流に流されそうになっている場面では、ちょっとクスッとさせられました。井伏鱒二の文章は笑わせようとする場面ほど、真面目に書いているという評論を読んだことがあります。人を文章で笑わせようとするならば、真面目に書くことが大事なんですね。

井伏鱒二は、開高健と一緒に釣りにもいっています。釣りの秘伝を教えた巻物も開高健記念館にはあるそうですよ、お近くのかたは足を運んでみてはいかがでしょう。

中島敦

中島敦は『 李陵 』『 山月記 』を読んだことはありました。開高健がおもしろいと言った作品は『 文字禍 』と『 悟浄出世 』の2作品。

中島敦全集を読み終わった感想は、もっと長生きしていれば、中国系の歴史小説や南国の暮らしのお話や先生をしていたときのお話などなど、中島敦の脳の中には、沢山の小説のストックがあったのではないでしょうか。

もっと長生きして、作品を発表してほしかった作者。

梶井基次郎

梶井基次郎は『檸檬』は読みましたが、他の作品はまったく読んでいませんでした。

梶井基次郎の小説を読んだ感想としては、いつも散歩してるな。それか寝てるか、悶々としているかですね。

ただ散歩しているだけの小説ですが、文章が綺麗なのか、語彙の選択がすばらしいのか、見た風景をそのまま文章にする技術がすごいのか、読みすすめたくなる不思議な魅力があります。

セミの鳴き声を表現している文章があります。その文章を読んでから、私の頭のなかで、セミの鳴き声は、梶井基次郎の文章に置きかわったのです。

開高健が選ぶノンフィクションの傑作

  • アンネの日記
  • コン・ティキ号探検記
  • 反乱するメキシコ

まだ無限にあるけれども、ノンフィクションの傑作として、とりあえずこの三つを推薦したい。

引用元:開高健の文学論

『 アンネの日記 』は暗い話、気が滅入りそうなので、いまだに読む気になりません。

コン・ティキ号探検記

ポリネシア人(オーストラリアの右上あたりの諸島に住む人々)の起源は、Where,どこなのか。フィリピンや台湾から丸太舟で移住してきた説が有力です。この本の作者トール・ヘイエルダールは、古代ペルー人がペルーからポリネシアに移住してきた仮説をたてました。

トール・ヘイエルダールは、仮説がただしいことを証明するために、ペルー沖からポリネシア諸島への航海に挑みます、丸太の筏(いかだ)で。

航海と書きましたが、はんぶん漂流じゃないの、と思いました。航海をした年は1947年。第二次世界大戦が終わったころです。GPSなどない時代に帆をたてた筏で太平洋にのりだしました。

航海のようすは、学者さんらしく、正確に書かれています。形容詞などあまりなく、よく言えばハードボイルド、わるく言えばすこし味気ない文章です。

魚釣り、突風で飛んでくる魚、未知の巨大静物との遭遇。ノンフィクションだけど、そこらへんのフィクション冒険小説よりもワクワクドキドキすること間違いなし。

反乱するメキシコ

『 反乱するメキシコ 』は、メキシコ革命を書いたルポタージュ。メキシコ革命は、1910年~1917年のあいだ続きます。書いた作者は、ジョン・リード。のちに『 世界を揺るがした10日間 』を書き有名になります。『 世界を揺るがした10日間 』のほうが、世界的には有名でしょう。

メキシコ革命という言葉をはじめて知りました。みなさん知っていましたか?

ジョン・リードは反政府軍に従軍します。ジョン・リードは、5分間おなじ場所に滞在すれば、その場所の描写ができると言われていた観察眼のするどい作家です。大きい眼でみた、そのままのメキシコを書き記しています。戦争の描写、虐殺など血なまぐさい文章もありました。そんな血なまぐさい内乱中でも、メキシコに生きる人たちは明るく、陽気、人にやさしく、音楽を愛しています。日本人がいだくメキシコ人のイメージそのものです。

取材中に政府軍の襲撃にあったジョン・リード。命からがら逃げだし九死に一生を得ます。このあたり開高健のベトナムルポタージュと通じるものがあり、そのあたりを開高健が気にいったのではと想像しました。

金子光晴

開高健の名言 』のなかで、開高健が暗唱できるほど読んだという本が紹介されていました。

マレー蘭印紀行』金子光春が、1930年ごろに東南アジアを旅行した記憶を書いた紀行文学。

文章は旧字体で、漢字や単語がわからない箇所がたくさんありました。勉強不足なり。

読んでいると、なんとなく開高健さんが影響を受けたであろう文章をみつけることができます。東南アジアの湿った空気、濃厚なジャングルの様子、ネットリ肌にまとわりつく汗などの表現に影響をうけたのかなと考えました。

開高健のファンでなくとも、日本紀行文学の最高峰でしょう。風景の美しさだけでなく、人間の悲しみ、残酷さを包括している紀行文。一読の価値はあり。

スパイになりたかったスパイ

開高健は、エッセイのなかで小説を書くときは、ほかの人の小説を読まないと書いています。スパイ小説や動物の図鑑を読んでいたそうです。

開高健が絶賛していたスパイ小説のひとつ『 スパイになりたかったスパイ 』は、開高健が解説を書いている。

何でもいいから面白い物語を読みたがっている、退屈で死にそうになっている人におすすめします。

引用元:スパイになりたかったスパイ

ロシアがまだソ連とよばれていた時代の物語。

序盤はほんとうにツマラない。この人の描写は必要なの?この設定はここまで丁寧に書かないとダメなものだろうか。と退屈しながら読みすすめていくと、中盤あたりをこえると、ドンドンと設定や伏線をとりこみながら、物語が進んでいくのです。

物語としては、ドタバタ勘違い系、パロディ、ピリっとした風刺小説など、読んだ人によってうけとりかたは変わるでしょう。

コメディ小説のように感じました、あなたはどう感じるでしょうか。

白い国籍のスパイ

『 スパイになりたかったスパイ 』と一緒に開高健が、おもしろいと絶賛していた『 白い国籍のスパイ 』の下巻。光の部を読みました。

上巻下巻とも現在では、中古でしか手にいれることができず、上巻は5,000円ほどします。下巻は1,000円ほどで買えました。ところどころ分からない部分はあったものの、だいたいのストーリーは分かりました。

第二次世界大戦の終結するちょっと前の時期が舞台。ショートストーリーがいくつも重なりあい物語はすすんでいきます。

『 白い国籍のスパイ 』の主人公はなろう系でいうのであれば巻き込まれ系主人公です。暴力で闘うタイプの主人公ではありません。知力と知識で危機をのりこえるタイプのスパイです。自分と他人を助けるために、必死に努力する主人公の姿は恰好よく男が憧れる男像でした。そして主人公は、女性にモテル。

『 白い国籍のスパイ 』の一番の特徴は、主人公が料理を作り、レシピを書いていることでしょう。書かれている料理のレシピは手がこんでおりプロ並みの料理です。料理を作るのですが、食べた感想があまり書かれていないので、どのような味だったのかを想像するのは愉しい時間でした。

開高健が絶賛した作家や本を読んだ感想【 まとめ 】

膨大な数の作家や作品がおもしろかった、と開高健はエッセイで書き、対談で話しています。

絶賛された作家や作品から、開高健が影響をうけた文体、文章はどこだろうな、と探しながら読む作業は、文豪開高健に近づく第一歩のように考えるのです。

おすすめされた作家や作品はおもしろく、時間がたつのを忘れて読みふけった作家や作品たちでした。

おおくの文章を書いた開高健。書くだけでなく沢山の文章も読んでいたのです。名文を書くには、名文を読むのが1番である、と書いたのは丸谷才一だったろうか。

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