精進料理レシピ集 作った精進料理の写真と食べた感想を書いています 精進料理はお手軽であり体とお財布にやさしい

料理

じぶんで作った精進料理の写真と食べた感想を書いている記事です。

水上勉の『 土を喰う日々 』に影響され土を喰うマネをしている人間が書いている精進料理レシピ集。

土を喰うマネなので、たまに精進でない料理レシピもあるかもしれません。

『 土を喰う日々 』と『 精進百選 』を読んだ感想と精進慮うを再現した記事はこちら。

トマトと豆腐

水をきった豆腐とクルミをすり鉢ですりおろし、中身をくりぬいたトマトにつめ蒸しあげました。

蒸さずとも、冷たいまま提供してもよいです。

縁起のよい紅白。見ためもたのしい精進料理です。

トマトの中身は、炒めトマトソースにしました。

みょうがときゅうりの梅酢あえ

みょうがは、私にとって、夏の野菜としては、勲章をやりたいような存在だが読者はどう思うか。

引用元:土を喰う日々

勲章を授与されたみょうがと夏の野菜の代名詞のようなきゅうりを細切りにしたのち梅酢と混ぜあわせ冷蔵庫で冷やしておくだけで作れる精進料理。

夏の暑気を払ってくれる野菜の組みあわせでございます。

梅酢の酸味は、さっぱりとしており食欲をひきだし、みょうがの滋味ある苦味と混ざりあい、そこに、きゅうりの清風のような食感をたのしめます。

みょうがやきゅうりだけでなく、色々な夏野菜をいれてもらってもかまいません。毎日毎日梅酢をつかっていると、梅雨あけにできた梅酢が早々になくなるかも。

長芋ときゅうりの梅酢あえ

きゅうりと長芋をお好みの大きさに切り、梅酢をかけまわすだけで作れる精進料理です。

長芋のねばりが、きゅうりを包みこみます。長芋のねばりは、梅酢のおかげで、さっぱりとした味覚になります。

梅酢のおかげで、ねばっこさを感じません。軽快な口当たりです。

長芋のしゃっくりとした食感。きゅうりのバリッとした音は、涼を感じます。

暑い日でもさらりと食べられる精進料理。そして作るのに火を使わない精進料理でもあります。

茄子のへたの揚げ焼き

茄子のへたは食べられるのです。茄子の果肉のなかでも柔らかくならず、みっちりとした歯ごたえあがります。茄子のへたがいちばん栄養があり、そして、おいしい。そのへたを捨てるなんてとんでもない、とおっしゃられる人もいます。

コリッとした歯ごたえがあり、お出汁と茄子の純な風味がしみでてきます。

茄子のへたは、お肉でいうところのモツ。そのように私は思うのです。ほるものだったホルモン。おいしく食べられるのです。

茄子のへたを揚げます。茄子を揚げるときに一緒に放りこんでおきましょう。

揚げた茄子といっしょに出汁に漬けこんでおきます。

そして、ゴマ油をひいたフライパンで焼きめをつけます。豆板醤をいれ辛味を追加しました。醤油や山椒、生姜などお好みの調味料を追加してください。

みょうがの焼き味噌

見ためは、まるで、あれですが、味は間違いないものでございます。

みょうがの夏の暑さをふきとばす苦味ばしった香りが、焼けた味噌のなかからニョッキリと顔をだします。

できれば八丁味噌がよいのですが、なければないでかまいません。味噌をミリンや日本酒でのばしたのち弱火にかけます。水分がぬけてくると、ねとねとねっとりとしてくるでしょう。

味噌の粘度はお好みでかまいません。お好みで唐辛子の粉末や山椒、生姜をいれるのもよいものです。

お好みの粘度になった味噌にみじん切りにしたみゅうがをくわえ軽く混ぜあわせれば完成です。

ねっとりと舌にこびりつく味噌、そのうちにあるパリッとしたみょうがを噛むと苦い酸味が口のなかをかけまわります。

ビールや酎ハイ、日本酒、はたまたワインとの相性もよいです。

もちろん白米やうどん、そばとの相性もよきです。しっかりと味噌の水分をぬいておけば冷蔵庫にて1週間ほどは保存できます。いちど作っておけば長期間、みょうがの苦味と味噌の旨味を堪能できます。

ブログから広がる茗荷の輪。

茗荷好きに刺さる料理だったようです。

精進そぼろ丼

二色のそぼろをのせた丼のように見えますが、精進料理です。

お肉にみたて高野豆腐は、ふっくらと戻したあとに崩し醤油やミリン、日本酒で煮るように焼きました。

卵のように見えるそぼろは、豆腐で作りました。豆腐が、なぜ黄色くなるのか、それはクチナシをいれ一緒に炒めたからです。

豆腐の水を切らずにつぶします。そして、塩をふり、クチナシの皮をむき、水分のでてきた豆腐に種だけをいれます。そして、フライパンで炒めると、まるで卵を炒めたようなそぼろを作れるのです。

高野豆腐と豆腐で作られたそぼろ丼は、タンパク質豊富です。そして、カロリーも控えめ。

精進タコライス

タコライスとは、牛肉をスパイスなどで炒めた具をライス、つまりご飯のうえにのせた料理です。

タコスの具をトウモロコシで焼いたり揚げたりしたものでなく、お米にのせた料理です。

高野豆腐を水でもどし、ちいさくつぶしたあとにスパイスと水をいれ炒めれば精進タコスの具を作れます。

カレー粉からウコンをぬいたスパイスを使えば、それらしい本格的な味に近づくでしょう。

タコスのスパイスも売られています。しかし、牛肉エキスなどがはいっている可能性もあります。

本格的に精進したいひとはお気をつけください。

レタスやトマトをトッピングすると、濃い味の高野豆腐をさっぱりといただけます。

ぬか漬けきゅうりと生姜

糠床に漬けておいたきゅうり。できれば、くすんだ色になったヒネたきゅうりがよいのですが、なければ新しいものでもかまいません。

きゅうりを薄く切り、そして、水気を切りましょう。そして、お好みの量の生姜を混ぜあわせます。

それだけで、生姜のピリッとした辛さがあり、そして、きゅうりの糠漬けの古風な香りが混ざりあったお漬物ができます。新しい刺激と古い慣習がまざりあったお漬物です。

生姜をいれているので、中国風のようでもあり、日本古来からあるお漬物のようにも感じられます。

そのままパリパリとやるのもよいです。冷蔵庫で冷やした豆腐にのせてやれば、暑さにて減退させられた食欲すら蘇らせてくれるような涼と酸を堪能できます。

ぬか床と豆腐さえあれば、パパッと作れるお手軽さもうれしいものです。

塩こうじきゅうりと生姜

塩こうじに漬けた水がぬけシオシオになったきゅうりと生姜を混ぜあわせただけのお漬物です。

混ぜあわせるだけで、夏場に食べるには最適のお漬物となります。

塩こうじの風味のある純としたきゅうりは、どこか古漬けのような酸っぱい風味もあり、そこにピリッとした辛い生姜の風味を感じられるお漬物です。

柴漬けなどにちかい風味といえます。生姜の辛味が汗をひきだし、きゅうりの清潔な水分が汗をふきながしてくれる涼があります。

お手軽に作れますが、冷たいビールや冷酒などと相性がよく、もちろん白米との相性もよいですよ。

大根と塩昆布

一夜漬けをきらって、どうして夏の料理の門が入れよう。

引用元:土を喰う日々

塩に漬けられた大根の一夜漬けは、熟成された大根の若い風味のある一夜漬けです。そして、夏の料理の登竜門ともいえる大根の一夜漬け。

塩だけでなく、塩昆布もいれ一夜漬けにしたものです。味の素のもとの昆布の黒い旨味が、白い大根をそめ、大根の葉にも旨味がしみこみ、まるで古漬けのような見ためになります。

塩昆布をねりこんだことで、古漬けほどに風味と香りは強いものになっていません。しかし、塩だけで漬けるよりも風味と香りは厚く強くなります。

塩だけの清純といった一夜漬けもよいものです。塩昆布をいれた一夜漬けもよいものです。その日の気分により漬け方を変化させています。

長芋の梅紫蘇巻

紫蘇でまいた梅はおいしいものです。

シャクリとした食感の長芋も巻いてみました。

ご飯のお供にも、冷酒のお供にもなる精進料理です。

紫蘇の爽快な香り、長芋の食感、梅の酸。うつうつとした気持ちをふっとばしてくれます。

キャベツの梅干あえ

キャベツを細く切り、細かくたたいた梅干を混ぜあわせました。

梅干の酸味と塩分のおかげで、キャベツから水分が染みでてきます。梅干の酸味とキャベツの新鮮な風味があわさったお汁です。

和風サワークラウトといえるお味でございます。

しんなりとしたキャベツには、シャクシャクとした食感が残っています。そして、梅干の酸味はいくぶんまろやかになっているように感じました。

梅干をたくさんいれ、そして、冷蔵庫にいれておけば長期保存できます。暑い日のビールや日本酒のあてに、白ご飯やパスタ、ソーメンの具にもなります。

キャベツと梅干は、ツナ缶など魚介類との相性もよいです。

キャベツの食物繊維もたっぷりと摂取できるレシピであります。

大根の山椒の漬物

大根をちいさく切り、乾燥させたあとに山椒を漬けこんだ醤油と日本酒、みりんで煮たの冷やし作る漬物。

いちど乾燥させた大根の食感は、新鮮な沢庵といった食感です。また、大根のしなびたような独特な風味と栄養がぎゅっと濃縮された旨味があります。

そして、大根のパリッとした食感のところどころに、山椒の清涼な辛味がはじけます。

食感の爽快感と香りの爽快感のふたつをひとつの料理で味わえるお漬物。

白米と相性がよいのはもちろん、日本酒のあてにもよく、箸休めにもなります。冷蔵庫にカタスミに保管しておきたい漬物です。

椎茸と昆布の佃煮

精進料理の出汁は、椎茸と昆布をおもに使います。

出汁をとったあとの椎茸と昆布は味が残りすぎているぐらいに残っています。捨ててはいけませんよ、椎茸と昆布。

椎茸の旨味と昆布の風味は、しっかりと残っています。

そこで椎茸と昆布を醤油と日本酒、ミリンで煮つめました。調味料の割合は2:1:1にて煮つめました。

からりと煮つめあげます。椎茸と昆布、調味料の旨味が濃くまとまっている佃煮です。

ほかほかのご飯にのせると、麺つゆをかけたような濃い香りがたちあがります。まるで白い湯気が、麺つゆの色に見えてくる、それほど濃い香り。

お酒を飲むときは、山椒をふりかけていただきます。椎茸と昆布ひとかけらで、ご飯一杯、お酒一合は飲める、それぐらい味と香りが強く厚い佃煮です。

ねぎ味噌

太いねぎの青い部分も白い部分も細かくきり、ごま油をひいたフライパンにてくたくたになるまで炒めます。

そして、お好みの味噌を日本酒やミリンでのばしねぎと混ぜあわせます。水分が飛んだら出来上がりです。

砂糖をいれていないのに甘いです。ねぎの辛さはありません。極上な甘露です。すこし甘すぎると感じられたかたは、一味などをふるとよいでしょう。甘味の輪郭がくっきりとします。

1週間ほどは冷蔵庫で保存できます。

白米と相性のよいねぎ味噌です。白米とねぎ味噌があれば、蠱惑的なおにぎりを作れます。

すこしねぎ味噌を焦がしてやると悦です。

冷蔵庫のすみにねぎ味噌を保存しておけば、お湯をそそぎいれるだけで即席お味噌汁を作れます。

ねぎの甘味がお湯にとけコクになるのです。ネギをちらしたり、ゴマをふりかければ、ネギの滋味ある甘味が胃のひだに染みこむお味噌汁を作れます。

いつもの麺にのせるだけで、しっとりと味がひろがるお味になります。うどんやラーメン、そうめん、パスタいろいろな麺との相性がよいです、ねぎ味噌は。

冬瓜の葛煮

正確には、葛煮ではなく、片栗粉煮です。

ほっくりとした潤とした水分が四角になっているような冬瓜。温かいまま提供してもよく、冷やしてから提供するのもよいでしょう。

冬瓜は、透明な淡泊な味そのものを愉しみたいものです。精進だしにミリンをくわえ保温調理したあとに醤油にて味をととのえました。

お好みの柔らかさになれば、片栗粉や葛粉をときいれるとよいのですが、かきまぜすぎては冬瓜が崩れてしまいます。そこで出汁だけを別の容器にいれ片栗粉と混ぜあわせています。

あとは冬瓜を盛りつけ、とろみをつけた出汁をかけ、生姜をのせたり、山椒をかけたりして食べてください。

冬瓜の淡泊な風味は、涼を感じます。体の芯が自然に冷やされ汗がひくように感じるのです。夏に食べるのにこれほど適した食材もないのではと思います。

短冊状に切ると、葛汁と名前がかわるそうですが、理由まではわかりません。

たたきごぼう

汚れを落としたごぼうをお湯でゆでます。

ゆでたごぼうをすりこ木棒や麺ぼうにて叩き、ごぼうの繊維を柔らかくします。ごま油と醤油をかけいれ、隠し味ていどにお酢をいれましょう。

ごぼうの滋味ある土といったぷ~んと香りが、お酢をいれることで森林浴をしているように静謐な風味と香りになります。

叩かれたごぼうの繊維はほぐれています。さくりとした繊維の食感をたのしめるのです。

ゴボウと梅の煮もの

ゴボウと梅がつかるお湯にてコトコトと煮ます。長いあいだ煮こめばゴボウが柔らかくなります。温かい状態で食べるよりも冷やしてから食べたほうがおいしく感じました。梅干しの身をこそげ落としゴボウとあえます。

ゴボウの香りと梅の酸味の相性はよいものです。ゴボウのどこか朴訥とした印象の風味が、梅の酸味のおかげで雅な貴公子のような風味になります。

長いあいだ煮こんだゴボウはさくりとしており、ゴボウのかたいスジがほぐれるようです。そのほぐれたスジからは、梅の酸味が染みでてきます。

冷蔵庫にいれておけば1週間ほどは保存できます。白ご飯にお酒のあてにと大活躍するゴボウと梅の煮ものです。

キクラゲと麩の白和え

水上勉のレシピではなく、辰巳浜子著『 料理歳時記 』に書かれていたレシピです。

白和えとは、白ゴマをごりごりとすりオイルをしぼりだし、水をきった豆腐と調味料をいれさらにすりあげたものを食材を和える料理です。

ごりごりとするのは大変ですが、ごまと豆腐の和のマヨネーズといった豊かな風味は、食材の風味と味を厚く強いものにしてくれます。

そして、いろいろな食材をしっとりと優しく包みこみ、口当たりをよいものにしてくれます。白和えにて素材を和えると、いっけん相性の悪そうな食材ですらお椀のなかでニッコリと仲良しに。

ほんらいは、生麩で作る料理ですが、乾燥麩にて代用しました。あるもので代用する、それ精進なり。

辰巳浜子は、このように書いています。

生麩と木くらげの白和えなど最高の小鉢ではないでしょうか。明治も百年、味も遠くなりました。

引用元:料理歳時記

明治百年どころか、平成も終わったいまです。その最高の小鉢のレシピは書かれていません。

キクラゲとシイタケを水につけ精進出汁をとり、その精進出汁にてキクラゲと麩を煮しめました。

やわらかいゴマの風味が舌にのると淡雪のように溶け、大地に芽吹くゴマの風味が現れます。そして、麩からは純といった清水のように澄み渡るお汁が染みでてきます。

アゴや歯が悪いひとでも食べられる柔らかさです。そこに黒く硬い食感があり、食感の対比の妙をたのしめます。なるほど、最高の小鉢のひとつに数えられるかもしれません。

焼味噌

茄子とゴボウ、ピーマン、ミョウガ、大葉を細かく切りゴマ油で炒めます。

しんなりとし水分が飛んだところに、日本酒とミリンで溶いた味噌をくわえ炒めました。こってりと濃い赤味噌が、香りの強い野菜との相性がよいように思います。

お好みの味噌で和えてください。

ゴボウの朴訥とした香り、水分が飛んだ味噌の香りは、まるで上質な味噌漬けのお肉を思わせるようなこうばしい香りになります。

味噌がしみこんだ茄子。シャクリとしたピーマンとミョウガの食感。ガリッと食べごたえのあるゴボウ。味噌の夜空に、花火のように野菜たちの旨味と香りがはじけております。

ご飯にのせてもよし、麺にのせてもよしです。ソーメンだけだと栄養がかたよります。そんなときは、焼味噌をのっけてやりましょう。

唐辛子をふるとジワジワと汗をかける一品に。冷たい日本酒と焼味噌の相性はそれはそれは。

こちらは『 料理歳時記 』にて紹介されていたレシピです。

ピーマンと塩昆布

ピーマンは生でも食べられます。

旨味成分の素のこんぶと塩を混ぜた昆布と細く切ったピーマンを混ぜあわせただけの浅漬けです。

無限という名がつく料理のひとつです。ピーマンがしなっとしてきてらゴマ油をかけまわします。お好みで炒った白ごまをまぶすのもよいでしょう。

できるだけピーマンを細く切ったほうが、食感が軽妙なものになります。辛味がたりないひとは、一味や七味をふってください。

ピーマンのサラダ

ピーマンを薄切りにします。そして、青じそやミョウガ、パセリなどを切り混ぜあわせます。

『 料理歳時記 』に登場するサラダの王様と評されたサラダです。そのほかに、セロリの芽や芽生姜、三つ葉の芽を混ぜるとよいと書かれています。

サラダの王者と書かれていますが、味付けが書かれていません。たくさんの香味の強い野菜を混ぜているので、塩だけでも王者の風格がでるサラダを作れます。

レモン汁をチュッとしぼってもよし、梅酢をふりかえるのもよいでしょう。

ピーマンは、生のまま食べられます。生のピーマンの香りは新鮮です。夏の香味野菜に溶けこみます。

シャクシャクとした食感は大根のつまにちかいですが、香りと風味はまったく違います。

夏の冷たい涼を器に切りとり閉じこめた香りと風味がある王者のサラダです。

茄子の胡麻だれ漬

すり鉢で白ごまをするか、白ごまペーストを用意してください。白ごまの五分の一ほどの生姜をくわえましょう。

そして、醤油とミリンでのばします。醤油は香りづけ程度にいれたほうが好みでした。茄子の純な旨味と白ごまの潤な旨味がひきたつように思います。

茄子をきり、ごま油で炒めます。ごま油をすいこみ柔らかくなった茄子を白ごまのたれに漬けこみましょう。

アツアツを食べても、冷やして食べても一級品の御馳走になります。お味のほうは、『 料理歳時記 』から引用させてもらいましょう。

茄子から汁が出て、胡麻だれはほどよく淡く、自然の甘味が増します。胡麻と生姜と醤油の出会いは、茄子の焦げめに混然ととけ合って食欲をそそります。あつあつもよし、冷たく冷やしてもよし、暑さのために食欲不振の胃の腑に、少量で、衛生的で、滋養の高いものとおすすめします。

引用元:料理歳時記

レンコンとゴボウのきんぴら

レンコンは食べやすい大きさに切っておきます。レンコンの皮はむかずにそのままお湯にてゆでます。あらかじめレンコンをゆでておけば焼く時間が短くなり、パリッとした食感をたのしめるのです。

レンコンの皮はむきません。すこし見栄えは悪いものになります。しかし、皮のちかくにもっとも栄養があると言われています。そして、根菜の女王ともいえるレンコンの皮は、泥さえ落とせば清潔なものです。

ゆでたレンコンと薄くきったゴボウをゴマ油をひいたフライパンにてシャンシャンと炒め、醤油と日本酒、ミリンをいれます。割合は2:1:1です。お好みの割合をお試しください。煮汁がなくなるまで炒めてください。

仕上げに七味ごまをふりかけておきました。

レンコンのしゃっくりとした食感。ゴボウの土といった滋味ある食感と香り。母なる地球のやさしい風味と香りに包まれる気持ちになり、心のささぐれがほぐしてくれる家庭的なお味です。

そして、レンコンとゴボウは食物繊維と栄養が豊富。食べた翌日は、よいうんこがでることでしょう。いや、でました。

オクラ

オクラの精進揚げ

オクラに金串や木串にて穴を数か所あけましょう。穴をあけないと、油で揚げている途中で爆発するおそれがあります。

緑のオクラに白い粉をうっすらとまぶし、うどん粉を水でといた衣につけ180℃の油で揚げました。

パリッとした衣のしたの、オクラの皮は、くにゃりとしています。そして、小籠包を噛んだときのように、オクラのぬるりとしたお汁があふれでてきます。

小さく白い粒がコリッとした食感がぬめりのアクセントになっていました。

オクラのねばねば成分がスープになり、パリッとした衣からしみでてくる乙な精進揚げです。

ねばねば三銃士

オクラと納豆、長芋のねばねば三銃士。

オクラと納豆のねばねばが、納豆の香りをふわりと包みこんでいます。栄養価の高い三つの食品をつるつるとすすれるのです。

また、混ぜあわせたのち冷蔵庫で冷やしておけば、さっぱりとしたねばりになり涼も感じられます。

そのまま食べてもよし、豆腐やご飯、麺類にのっけるもよしでございます。

オクラの塩昆布漬け

オクラに塩をふり熱湯にて1~2分ほどゆでます。

オクラをゆでているあいだに、塩昆布に精進だし(麺つゆでも代用可能)をいれ醤油やミリンなどで味を整えておきましょう。

ゆでたオクラを出汁にいれます。お好みで唐辛子などをくわえてください。半日から1日ほど冷蔵庫にいれオクラを漬けこみます。

オクラの皮はいくぶん柔らかくなっています。ほどよいシャックリとしたオクラの皮の食感です。オクラの皮の表面にしみこんだ風味と、オクラのなかの清純なネバリがお口のなかで精妙に混ざりあいます。

すこしお酢などをいれてやれば、さっぱりとし暑い日でも食べやすいネバネバとしたスタミナのつく料理になります。

また、トロロと混ぜるのも楽しいものです。

オクラとレモン和え

オクラを切り、オクラと同じぐらいの大きさにレモンを切り混ぜあわせます。わかめと昆布でとった出汁を少々、醤油とみりんをくわえます。

レモンは、皮まで食べて大丈夫と書かれているものを選びましょう。

どこかぬけた風味のオクラをレモンと混ぜあわせると、お天とさまに向かって直立していた記憶を思いだしように風味がピッとひきしまります。

レモンの皮の酸味と苦味にオクラのぬるぬるがまとわりつき、レモンの酸味もまろやかなものになります。

レモンの酸味と苦味をつるつると食べられるのです。

さっぱりとしたお味です。パスタやそーめんのトッピングにぴったりでございます。

精進料理にはなりませんが、オクラとレモンは、魚介類の缶詰との相性がよいです。

ぜんまい

ぜんまいだけは、乾物をつかうと書いていた水上勉。

お手頃価格でかえる春の味覚のひとつです。

たっぷりと摂取しましょう。

ぜんまいの辛子和え

乾燥ぜんまいを水につけておき、ふっくらとしたぜんまいに戻しておきます。

戻したぜんまいを出汁にいれます。ぜんまいすべてがつかる出汁にいれてください。出汁は、昆布とシイタケからとりました。醤油をすこしいれ薄く味をつけ弱火で煮ます。

火をとめます。そして、常温になるまで冷やしてください。冷えたぜんまいに醤油でのばした辛子を混ぜあわせます。

辛子と醤油の分量は、お好みの分量を混ぜあわせてください。炒った白ゴマをのせました。

鼻の奥の粘膜に直接にとどく辛子の香り。舌にピリッとくるぜんまいの辛味。ぜんまいからは、春雨にぬれたような清潔なお汁があふれてきます。

辛さのおかげで、ぜんまいの素朴なのびのびとした風味がひきたちます。

ぜんまいの煮もの

ぜんまいの香りと風味が食材に染みわたった料理です。ぜんまいは、隠し味。

ぜんまいと醤油、そのほかの食材を煮ると、日本の田園風景を思いおこさせる香りになります。

水にもどしたぜんまいと、お好みの食材を精進出汁と醤油、ミリン、日本酒で煮つめるだけの料理です。

ぜんまいをいれることで、醤油の香りと風味が、竹林にある腐葉土のように豊かな香りになります。

疲れた精神にやさしく寄りそってくれる精進料理です。

ぜんまいとメンマ

水にもどしたぜんまいとメンマをゴマ油をひいたフライパンで炒めます。パパッと中火でしゃんしゃんと炒めてください。

お好みで醤油や日本酒、紹興酒などをいれ味をつけてください。辛味がほしいひとは、唐辛子をフライパンにいれるか、あとから一味やラー油など辛味をあとから加えてください。

あつあつをそのまま食べてもよし、冷ましてから食べてもよし、ビールや日本酒のあてにもよし、ラーメンのトッピングにもよしでございます。

中華の発酵されたぷわぁんとくるメンマの香りと、日本のぜんまいの牧歌的な香りの相性はよいです。ポリッとした食感に、ぜんまいの食感がまとわりついています。

硬いと柔らかいのふたつの食感があるだけでなく、熟成されたふたつの香りが混ざりあった豊かな風味もあります。

もどしたぜんまいとメンマさえあればすぐに作れる精進料理です。精進料理ではありますが、般若湯をのむ速度があがります、そこはご注意ください。

ビーツ

精進あげ

ビーツを細く切り精進あげにしました。

赤い丸い円を見ていると運気があがりそうな気になります。

種類によっては、内部まで真っ赤のビーツもあるでしょう。

とりあえず困ったときの精進あげ。油にて調理してやればどうにもでなる気がします。

さっくりとし長芋などの食感にちかいです。また、そこはかなとい甘味も感じられました。

ビーツのきんぴら

ビーツは赤い野菜です。

きんぴらにしあげてみました。透きとおった赤色がはえます。

パパッと火をととすだけで、熟したような甘味を感じられるきんぴらになりました。

ほっくりと甘いきんぴらです。ビーツは食べる点滴をいわれるほど栄養満点です。ビーツをいろいろな野菜と食べることでさらに栄養満点に。

りんごが赤くなるよりも、ビーツが赤くなれば、医者は青くなるかも。

ごぼうの素揚げ

ほそく切ったごぼうを油で揚げたものです。油の温度は、低めがよろしいように思います。じっくりとごぼうに火をとおしパリッとさせます。

できるだけ細く切ったほうが食感がよろしいです。ごぼうを細くきる精進。

ごぼうを揚げ、白くなったごぼうを狐色にしあげます。土からだしたごぼうの色にちかづけるとごぼうの香りはこうばしいものになります。

ごぼうを揚げた香りは、とてもゆたかなものです。揚げ野菜の代名詞といえばジャガイモですが、ジャガイモにせまり、まさるかもしれないごぼうの素揚げ。

ポリッとしており、歯にあたると砕けるほど軽い食感です。麺を揚げたものに近いです。

油で揚げた食べ物の香りとごぼうの揚げられた香りの相性は滅法界よいものです。こうばしく濃い香りが、ダイレクトに鼻と食欲を刺激します。

こうばしく揚げたごぼうの風味は、肉を食べたような満足感をえられます。野菜を揚げたはずが、肉を食べたような旨味と風味です。

ビールや酎ハイなどのあてによく、また温かいお汁のトッピングにもあいます。

くるみだれ

くるみを丹念にすり鉢ですります。お好みで白ゴマをくわえましょう。

くるみや白ゴマの形がなくなり、しっとりとした油がしみでてくるまですりましょう。口当たりがなめらかになり、潤とした旨味をしっかりと感じられるたれになります。

お味噌を混ぜあわせるのですが、白味噌や信州味噌など白い味噌を混ぜあわせると清潔な白いたれになります。

精進料理です。昆布と椎茸でとった精進出汁でのばしました。カツオ節を使った麺つゆでのばすのもよいものです。

くるみと白ゴマのたれをまとった蕎麦は、やわらからくすすれます。くるみと白ゴマの自然な旨味をまとった蕎麦です。

くるみの旨味は、強いものですが、蕎麦の香りと風味を壊しません。くるみと蕎麦の香りと風味、旨味は、混ざりながら細い蕎麦を太く濃く厚い旨味に転化します。

くるみだれを漬けた蕎麦は、精進トンコツといった柔和に濃いたれです。

ズッキーニとかぼちゃの炭火焼

水上勉のもっとも有名な料理のひとつ、くわいの炭火焼き。じっくりと野菜を炭火で焼き、焦がし、皮が割れ、野菜の蒸気がふきだすまでじっくりと焼くだけの単純な調理方法です。単純ではありますが、もっとも野菜をおいしく食べられる方法だと思います。

ズッキーニとかぼちゃも炭火でじっくりと焼き、焦がし、柔らかくなるまで焼いてやれば、甘い果肉になりました。

ほっくりとした果肉です。蒸した果肉のようにも感じられました。しかし、果肉の密度がちがいました。蒸し料理とちがい、七輪で焼いた果肉は、水分がぬけ、こねられて作られるアンコのような食感になっています。

そう、まさに天然のアンコです。

ズッキーニやかぼちゃの皮が焦げてもあせらずにゆっくりと転がし、できるだけ黒い皮をのこしながら焼きました。

食べるときは、黒い皮をむき、炭火で熟されたような果肉だけを食べてください。皮はもったいないように感じますが、甘露ともいえる甘味のための犠牲と思いましょう。

美食には犠牲がつきものなのです。皮に感謝を感じつつ、甘味に舌鼓をうつ。

つるむらさきの煮もの

つるむらさきは、水上勉の精進料理には登場しません。

昔からありそうな野菜と思うのですが、さいきんの野菜なのでしょうか。

モロヘイヤほどぬめぬめっとしておらず、舌をころがるいヌメりがあります。また、通ごのみの苦味も感じられました。

むかしは、もっと泥くさいイメージのつるむらさきでした。泥くさは消え、さっくりとした茎の食感。ぬるりとした葉っぱ。たのしい食感を堪能できます。

精進だしで煮ました。カツオ節などと相性がよいのではと思いました。

蕎麦の精進揚げ

蕎麦やうどんは、中国で修行したお坊さんが日本に伝えたと言われています。

麺はどこからきたのか、それは卑弥呼がどこにいたのか、それぐらい遠い時の謎に包まれています。

蕎麦の揚げ物を食べていると、池波正太郎のように、おっ通だねと一目おかれるかもしれません。

高温に熱した油に蕎麦をいれると、一瞬にして蕎麦の花が咲くようにふくらみます。油から蕎麦をひきあげ、しっかりと油をきりましょう。

パリッと心地よい音をたて折れる蕎麦。穀物と油の相性は悪魔的によいものです。

老若男女によろこばれる一品でしょう。

海苔と蕎麦の精進揚げ

海苔を揚げるときに、蕎麦を作るときにでる短い蕎麦をまぶし揚げました。

蕎麦の揚げた香り、パリパリとした食感は、海苔のパリッとした食感よりも強いかもしれません。

パリパリとパリッが爆ぜる、そして蕎麦と海苔の香りも爆ぜます。

蕪の田楽

蕪をお好みの大きさにきり焼いた田楽。

ほっくりとし、歯がゆっくりと沈みこむ柔らかさ。透明な湯気、清廉淡泊な雅な蕪の風味があります。

味噌をぬりつけ、あらあらしい味噌の風味と蕪の典雅な風味の対比をたのしむのもよいです。

長芋の精進揚げ

長芋の精進揚げ。

長芋の皮をコンロなどの火であぶりヒゲだけ燃やします。

そして、皮ごと揚げます。見ためは悪くなりますが、長芋の皮はおいしく食べられるのです。

だまされたと思い、いちど長芋の皮を食べてみてもらいたいものです。

さて、長芋に衣をつけ180度の油で揚げるだけの単純なレシピ。単純ゆえに、揚げ時間や長芋の太さや長さを変えることで、長芋の精進揚げの食感や味を変化させられるでしょう。

パリッとした衣を噛むとパリッとした音が聴こえてきます。ほっこりと焚き火であぶったような食感だったり、パリッとした爽やかな食感だったりと長芋は色々な顔を魅せてくれます。一期一会の長芋の揚げ物です。

長芋の皮の精進揚げ

長芋の皮を揚げたもの。長芋は皮だけ揚げてもいけます。ポテトチップスよりもほっくりとしています。そして、エコであり、お財布にもやさしいです。

長芋の味はシンプルです。塩やコショウなどをふりかけると色々と味の変化に対応できます。

土にうまっている長芋は、食感が悪くなるヒゲですら食べられるのです。皮ごとすりおろした長芋を毎日食べています。

ちょっぴりのニンニクをすりいれた山芋を丼いっぱい食べる水上勉の姿を開高健は見て、そして、文章に書き残しています。水上勉は、長芋とニンニクについて書いていません。

丼いっぱいの山芋をすすると大量のウンチがでた、そして体が軽くなると開高健は書いています。便通にお悩みのかたは、お試しあれ。

長芋の皮のきんぴら

きんぴらに長芋の皮をいれると、焼かれた長芋の皮から牛肉や豚肉を炒めたような動物タンパクの香りがします。

長芋の皮は食べられます。そして、おいしいものです。長芋の皮までいつくしみ、おいしくいただく、それ愛であり、そして精進なり。

メンマときゅうり

禅は達磨よりはじまった、達磨がどこからきたのか分からない。

中国の洞窟の壁にむかい瞑想していたときに梁の武帝とかわした問答は有名です。その問答も後の世の創作という噂が。どこから達磨はきたのか。

さて、中国といえば、精進料理が華やかなことで有名です。その中国の食材メンマときゅうりの相性は滅法界よい。

ポリッとしたメンマの食感とパリッとしたきゅうりの食感は似て非なるものです。ポリッとパリッのふたつの食感がそろった精進料理。

作り方はかんたん。塩をぬいたメンマと塩をふったきゅうり、ゴマ油を混ぜるだけです。お好みで唐辛子を。

精進料理は陰のある料理がおおいです。しかし、この料理は陽。シュワシュワとした般若湯とこいつがあれば、食卓がたのしいものになります。

ザーサイときゅうり

きゅうりは、中国の食材と相性がよいように思います。

きゅうりを焼く精進料理が、『 精進百選 』でも紹介されています。

きゅうりのパリッとした青い清涼な食感に、ぺたりと張りつくザーサイの食感。

きゅうりの清純なお汁と、ザーサイが発酵しひねた酸っぱいような独特な風味が混ざりあっています。

チンゲン菜の根

かたいチンゲン菜の根。塩漬けにしたのち、ゴマ油で炒めました。

ザーサイのような香りになります。

中華料理との相性がよいです。

ニラ醤油

ニラを細かく切り醤油を注ぎいれます。ニラが漬かるまで醤油を注ぎいれます。

お好みで唐辛子など辛味をいれましょう。

冷蔵庫にいれておけば長期保存できます。

豆腐などにかけるだけで、ニラの香りと風味のある濃い醤油を堪能できます。

ニラは栄養満点です。腹痛を治す効果もあります。

栄養がありすぎて、ニラを食べるのを禁止している禅寺もあります。

本格的に修行していないのであれば、積極的に食べたいニラです。

ごぼうと糸コンの炒めもの

糸コンの色がすこぶる悪くなります。

食べてみれば、おいしいのですが、見ためが悪く食欲があまりわきません。

なにごとも料理してみなければ分からないことがあるのですね。

見ためが悪く食欲がわかない、逆に考えるとダイエットに最適な料理かもしれません。

精進料理を作った感想【 まとめ 】

精進料理は、日常に溶けこんだ食材をつかうレシピがおおいです。見たことも聞いたこともない食材や調味料はあまり使いません。

また野菜中心の料理になります。劇的に体の調子がよくなることはありません。ありませんが、食べ続けていると、お通じがよくなり、どことなく体が軽くなってきたように感じました。

野菜を中心に作る精進料理はお安く作れます。また、手軽にパパッと作れるレシピがおおく、冷えてもおいしい精進料理がおおいのも特徴でしょう。

体に優しく、お財布に優しく、忙しい現代人の調理時間にも優しい精進料理です。

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