『 斉民要術 』水引麺再現レシピ 中国で作られた最古の麺レシピのひとつ 現在でも再現可能 ひとつの麺でいろいろな食感をたのしめる

麺作り

この記事は、『 斉民要術 』に登場する水引麵のレシピを再現し、食べた感想を書いている記事です。

水引麺再現方法は、『 麺の文化史 』を参考にさせてもらいました。

『 斉民要術 』とは、550年ごろに書かれてたといわれている本です。日本でおなじみの三国志の時代がおわり、隋が中国を統一するあいだに書かれた本です。

その『 斉民要術 』に、水引麵の作り方が書かれています。それ以前も麺や混沌、餅などと呼ばれ麺を食べていたと思われますが、作り方が書物には残っていません。

以上のことから水引麵は、中国で作られたいた最古の麺レシピのひとつです。現在の日本でも再現できます。

必要なものは、中力粉と豚肉。それに塩と水です。

なぜ、麺を作るのに豚肉が必要なのか、麺のトッピングではありません。豚肉からとった冷やしたスープで粉をねりあげるのです。

古代の中国では、粉に旨味をねりこむ方法が採用されていたようです。

いまを生きる私も麺にいろいろなものをねりこみ、粉をねりあげました。

さて、中国の歴史のように前口上が長くなりすぎました。さっそく水引麵を作りましょう。

水引麵の作り方

豚肉のスープをとる

塩をいれたお湯を用意し、豚肉をコトコトと煮ました。豚骨を使ってもらってもかまいません。

お吸物よりも少し塩辛く感じられる塩分にて豚を煮ました。

常温になるまで冷やしておきましょう。

粉と豚肉のスープを混ぜあわせる

豚肉のスープと粉を混ぜあわせましょう。

粉は中力粉をつかいました。強力粉をつかえば、歯ごたえのある水引麵を作れると思います。

粉:100gにたいして、豚肉のスープ:40gをいれました。粉:200gであれば、豚肉のスープは80gです。

粉の重量の40パーセントのスープをくわえてください。

いきなり手で混ぜあわせると、ねとねととした粉が手にくっつきます。菜箸やゴムベラを使い混ぜあわせるとよいでしょう。

写真では、粉と水を混ぜる専用の調理器具を使っています。専用だけあり効率的に粉と水を混ぜあわせられます。

豚肉のスープが、粉ぜんたいをしめらせ、3mmほどの粒状になれば手で作業をしてもくっつきにくいです。

3mmほどの粒にならないときは、豚肉のスープをすこしずつ粉にそそぎいれてください。

手をつかい、粉を押しつけたり、伸ばしたりし、粉をこねあげましょう。

手で粉をまとめあげます。そして、1時間ほど、まとめあげた生地をねかせます。生地を寝かせることでグルテンが形成され生地が伸ばしやすくなり、滑らかになるのです。

寝かせているあいだに生地が乾燥してしまわないようにサランラップを巻いておきましょう。

麺を形成する

清潔な作業台に生地をのせてください。

手で生地を丸くのばしましょう。

そして、生地にウズマキを描くように切れ目をいれていきます。切れ目は表面だけでなく、生地の裏側までしっかりと到達させてください。

生地のはしっこをひっぱり、生地を太い麺状にします。

一本につなげる必要はありません。麺が切れてもまったく問題ありません。

手をつかい麺を転がします。作業台と手で麺をはさみ、コロコロと転がすと面白いように生地がのびます。

すべての生地をある程度の細さまでのばしてください。

ボウルなどの容器に水をいれます。そして、細くのばした生地、いや、もう麺ですね。麺を水にいれます。

水引麵の名前の由来が見えてきましたね。

水のなかで麺を引くように、押すようにのばします。麺の表面はゆるくなりますが、麺そのものが消えてなくなることはありません。

生麩を作るように、水の中で作業することで麺にはグルテンがのこります。

すべての麺をできるだけ、うすく、ほそく伸ばしましょう。お湯でゆでると、想像以上に麺はふくれます。

麺の形がいびつであろうが、細いところ、太いところがあってもかまいません。食感のちがいが、口や舌を喜ばせてくれます。

水引麵を食べる

沸騰させたたっぷりのお湯で水引麵をゆでましょう。

ゆで時間は、水引麵の太さやお湯の温度によってかわります。ゆで具合を確認し、いい具合にゆであげたのちお湯からひきあげましょう。

残しておいた豚肉のスープや、新しく作ったスープ、または醤油と塩で味つけをしたスープでも食べられます。

びらびらと薄い部分は、水餃子のような食感であり、ふとい部分はうどんのような食感です。

水に漬けてのばしています。余計な雑味がぬけ、ツルツルとした食感がましています。

ワンタンとうどんを一緒に食べている、そのように感じられました。

口当たりは滑らかであり、中華麺というよりも、日本のうどんに近いように感じました。中力粉ではなく、強力粉を使うと中華麺の食感に近づくと思います。

中国では嫌われますが、冷やしても食べれます、水引麵は。暑い日には、薄く細いビラビラしている部分に涼が宿ります。

ビャンビャン麵よりも作りやすいように感じました。

水引麵は、ふるい麺の作り方ですが、二~三周ほど万里の長城をくるりとまわり、あたらしい麺のように感じました。

水引麵を作った感想【 まとめ 】

水引麵を作るのに凝った調理器具は必要ありません。ボウルと作業台、包丁があれば作れます。

材料は、粉と水、塩があれば作れます、あとは出汁をとる豚さえあれば。

水引麵は、ワンタンとうどんを一緒に食べているような食感です。薄くのばされた部分は、ワンタンや水餃子のような食感。ふとい部分は、日本のうどんのようなどっぷりとした食感です。

麺を作る技術をあまり必要としない水引麵でした。

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