『マティーニを探偵する』を読み辛口でドライなマティーニレシピを探求する

ジン

カクテルの王ともいわれ、もっとも有名なカクテルのひとつマティーニ。

そのマティーニの歴史を徹底的にしらべあげ書かれた本が『マティーニを探偵する』

アメリカに現存する貴重な文献から、過去から現代までのカクテルレシピを参考にし書きあげられた労作。

マティーニの歴史は知れる。マティーニについての知識もふえる。

けれども、マティーニがどこで初めてつくられたのか、その謎に肉薄するが、結論はでない。

マティーニの誕生の謎は、これからもマティーニ探偵をうみつづけるだろう。

マティーニについての歴史を知りたいひとに、おすすめの一冊『マティーニを探偵する』

話かわって、おれはマティーニを好まない。

ドライ・マティーニといわれているが、ドライとも思わないし、なんなら甘いとすら思う。

マティーニの作り方は、百花繚乱・百花斉放、夜空に輝くスターほどのレシピがある。

まずは、オーソドックスなマティーニをつくり、さまざまなマティーニをつくり味わい、辛口でドライでシャープなマティーニレシピを探求しようと思う。

まずはマティーニグラスに、氷をいれ冷やす。

暴論じゃなかろうとおもった意見がある。マティーニグラスに酒、いや液体をそそげば、それはもうマティーニと名のれると。意見の賛否の判断はみなさまに任せる。

材料は、ジンとドライベルモット。ふたつのお酒の割合もさまざま。ジンをたくさんいれたほうが、ドライになる。

ジンの種類もベルモットの種類も数えられないほどにある。日本でもいま、ぼこじゃがとジンはクラフトされている。いまなおジンは進化している。

ドライベルモットの数はしれている。お好みのドライベルモットを探偵する資金はおてごろ。

ジンとドライベルモットを氷のいれたステアグラスにいれる。バースプーンでかき混ぜ冷やす。

そして、ミキシンググラスにフタをし、マティーニグラスに液体をそそぎいれる。

そして、オリーブをしずめる。

オーソドックスなマティーニの作り方だとおもう。

ネズと薬草の香りのまえに、すっぱいオリーブの匂いがひろがる。腐葉土のように陰気で、なんとなく影のようなオリーブの匂いが鼻につく。

冷やされているので、口あたりはシャープではある。ただ、そのシャープの口あたりにオリーブの膜がはりつけられ、なにやら、ねとねと、にとにと、舌にこびりつくイヤらしさが気になる。

オリーブの匂いのおかげで、ドライベルモットの薬草に肥えだめをぶちまけたような味の崩落がおこる。

ぎゃくにオリーブ全面におしだして作るカクテルがある。

オリーブを漬けこんでいるお酢?水?をいれてつくるダーティー・マティーニがある。

酸味のおかげで、こざっぱりとした口あたりになっている。

なにかの映画かドラマでダーティー・マティーニは古臭いといわれていた。

なかなか趣のある味わいだと、おれは思った。あとで書くが、オリーブをいれたマティーニは嫌いだが、ダーティー・マティーニは辛口で飲みやすい。おれは古臭い人間なのかもしれない。

映画でも日常でも、マティーニをみなかたむける。おいしそうに飲まれているが、ほんとにおいしとかんじ飲んでいるのだろうか。大人になる、ハードボイルドになるには、マティーニを傾けなければいけないのだろうか。

おれが、マティーニをきらいな理由はオリーブにあると思っている。『マティーニを探偵する』でも、マティーニにオリーブをいれた人間をボロカスに叩く文章がある。いつのまにか、オリーブは市民権を獲得し、ワガモノ顔でマティーニにしずんでいる。

『マティーニを探偵する』を読んでいると、マティーニの原型にはレモンピールがいれられていたと書かれているではないか。

我が意をえたり。オリーブをいれるよりも、圧倒的にドライでシャープ。オリーブなんていらんのや、マティーニに。

レモンの皮の酸味のおかげで、味わいはクリアになり、ネズの実の香りが活き活きしてくる。ドライベルモットの薬草の香りも輪になって踊りだす。

レモンピールのかわりに、オレンジ・ビターズをいれてつくる、その名もクラシック・ドライ・マティーニとよばれれるレシピもある。

ちなみに、クラシックでもなんでもない。20世紀初頭から作られただしたレシピだそうだ。

では、なぜオリーブをいれるようなったのだろうか。

文豪であり酒豪でもあるヘミングウェイの小説の主人公は、怪我から男のシンボルが不能になる。

ある日バーでマティーニを注文すると、マティーニにオリーブがいれられていないのを見て、オリーブはいれてほしいな、とつぶやく。

オリーブは、男のシンボルだったのではと考えた。アメリカ映画につきもののF〇CKするために、景気をつけるために、オリーブをいれだしたのではとおれは考えた。

ヘミングウェイの小説に登場するカクテル『モンゴメリ』

オリーブをオリーブ油につけ、そして、つぶしたニンニクをくわえ数時間ねかせたものをマティーニにいれる。

ハードボイルド文体の祖ともいうべきヘミングウェイが考案したといわれるレシピではあるが、ニンニクはないと、おれは思った。

ところが、いけるのである。オリーブの実の匂いが軽減され、ニンニクのあの独特の香りのおかげなのか、すこぶる辛口のカクテルに変貌している。

唐辛子もしこめば、さらに辛口になるとおもわれる。ペペロンチーノのソースとしても使える。

小説のなかでは、このカクテルを2杯飲み、そしてF〇CKする。以上のことから、オリーブはいまでいう精力剤だったのではと思う。

ちなみにマティーニにオニオンをいれるとギブソンになる。これにも原点についての諸説あり。オールドカクテルの原点の謎はグラスの靄にかくされている。

朝立ちもしなくなった男の象徴をぶらさげているおれの結論は、マティーニにオリーブは不要であると結論づけた。オリーブをいれたところで、復活するもんでもなく、ドライ感とシャープ感、味わいを壊す原因のひとつであるオリーブには退場してもらおう。

すこし話は横道にそれる。トム・クルーズ主演の映画『カクテル』をごぞんじだろうか。映画のできそのものは、まぁ、あまりよくない。けれども、会話のなかにペルノをフロートさせるマティーニのレシピが登場する。

八角の香りがぴんぴんにたっているペルノをフロートさせると、痛いとかんじるほどに辛口のマティーニになる。もちろん、オリーブはぬいて。

オリーブは、絶対的に排除したほうが、ドライになることはわかった。

つぎに問題になること、それはステアでつくるか、シェイクでマティーニをつくるか、これが問題になる。

ここで登場してもらうのは、世界でもっとも有名なスパイのひとり007。

「ステアでなくシェイクで」は、お酒を飲まないひとでも知っている映画史にのこるであろう有名なセリフ。おれは映画をまだみていない。

007マティーニの材料のベルモットは甘口。ハードな世界にいきる007は、甘口のお酒がおすき?そして、ジンでなくウォッカをつかっている。ウォッカをつかうと、辛口にはなる。しかし、すこしなにかモノタリナイとかんじるマティーニになる。やはり、マティーニには、ネズの実の香りと、ちくりとした苦味が必要なのかもしれない。

さて、おれとしては、ステアであろうが、シェイクであろうが、どちらでもよいという結論にたどりついた。ジンをシェイクすると、ジンの風味が壊れるというひともいるそうだ。そんなことあるのだろうか。どちらかというと野蛮ともいえるほどつよい風味のジンがシェイクで壊れる?

記事の最後に書かせてもらうことになるが、おれはステアもシェイクもせずに辛口でドライでシャープでキック感のあるマティーニをつくった。

話を『マティーニを探偵する』にもどす。読みすすめるにつれ、オリーブどころか、ドライベルモットすらもいらないと、左党たちは考えていたとしか思えない。

ドライベルモットをへらす逸話はたくさんある。チャーチルがドライベルモットのフタをあけ、その香りだけでジンを飲んだ逸話は、たいへんに有名ではある。けれども、実話なのかは疑わしいそうだ。

ジン15にドライベルモット1の割合のマティーニをモンゴメリと書いたヘミングウェイ。モンゴメリ将軍は、第二次世界大戦中にロンメルを破ったことで有名。戦力差が15対1になるまで攻撃をまったことに由来しているそうだ。こちらのモンゴメリはニンニクぬきのようだ。チャーチルの逸話は、いまも語りつがれているが、ヘミングウェイのモンゴメリの呼び方はあまり。

さて、ドリンカーたちの傾向は、みなドライベルモットはすくなめのマティーニが好きなようだ。草場の影で、ドライベルモットの製造者たちが涙を流していそうだ。

おれは、ジンをストレートで飲むが好きだ。マティーニの魅力のトリコになったドリンカーは、ジンのストレートよりも、すこしだけドライベルモットをいれるのを好むようだ。

そこで生みだされた方法『イン・アンド・アウト』

ドライベルモットをマティーニグラスにインさせる。

そして、ドライベルモットをアウトさせる。お店ではドライベルモットを捨てるそうだが、おれはあとで飲む。香りをかぐにつぎ、ドライベルモットを削りに削りきった手法である。ここまで、こだわる必要があるのだろうか。

なんなら、ジンにアンゴスチュラビターズをたらすだけのジンアンドビターズでいいのではと考えるのだが、みなさまはどう考えられるだろうか。

グラスにうっすらとのこったドライベルモットの残滓。おそろしいほどの辛口でシャープ、クリアなマティーニをつくれる。つまようじで歯茎を刺されたほどのドライベルモットの香りはある。ジンのアルコールが、胃にダイレクトにずどんとくる。はなはだつよいキック感。

アルコール度数の話がでたついでに、辛口のマティーニをつくるなら、アルコール度数の高いジンをえらんだほうよい。むかしから愛されてきたゴードンのアルコール度数47℃と一般的なジンよりも高め。ゴードンが愛されてきた理由は、アルコール度数の高さにあると思っている。

ゴードンとおなじアルコール度数でありながら、お安いタンカレー。

タンカレーとドライベルモットをつかい、シェイクやステアの技術がなくともつくれる辛口のマティーニをつくる。

まずは、ドライベルモットの空き瓶を用意します。飲みほせないひとは、空のペットボトルにドライベルモットをいれ香りをつけたのち、ドライベルモットをアウトさせておく。

タンカレーをドライベルモットの瓶にそそぎいれる。

そして、ドライベルモットのフタをしめシェイクする。

そして、もういちどタンカレーの瓶にもどしいれる。

タンカレーの瓶のフタをしめ、冷凍庫につっこむ。あとはキンキンに冷えるまで放っておく。

とろみのついた液体をマティーニグラスにそそぎいれる。

タンカレーの緑の瓶には、ロンドンの氷雨まじりの白い霜がおりる。そして、マティーニグラスにも摩周湖の霧によくにた白い霜がおりる。マティーニグラスを手でもつと、冷徹なマティーニの冷気が肌につたわってくる。マティーニグラスの霜は、部屋と手の温度にあたためられ、すぐに液体になる。コースターは用意しておくべきだろう。

マティーニグラスに口をつけると、唇がくっつく、それほどにしっかりと強固に冷やされている。シロップのようにとろりとしたマティーニの口あたりは一瞬だけやさしい。けれども、やさしさは苛烈とも峻烈ともいえるドライな風味に転化する。口や歯茎、のどの奥、口中に冷たさを顕現した颶風がふき、強烈なジンの香りと風味が奔流となりあふれ暴れだす。

飲んだ瞬間、たちくらんだように、頭がくらりとゆれる。それほどに強烈なキック感がある。冷やされた口中は、じょじょに熱をとりもどす。そして、ゆっくりとジンのなかにふくまれている薬草の薬効成分がシモヤケしたような口中にしみいる。サウナでいう、温と冷。口中がととのう。

禁じ手ではあるが、温かいお湯、もしくはビールと交互に飲んでもよい。

お好みでレモンをいれるのもよい。爽やかと酸味がくわわり、さらに味わいが研ぎ澄まされる。

アンゴスチュラビターズをたらすと味わいが、深く厚く濃くなる。

ペルノをたらすと愉快で痛快な味わいになる。

辛口でシャープでドライなマティーニの作り方は、ドライベルモットの瓶にジンをインさせシェイク、そして、ジンの瓶にもどしいれ、冷凍庫につっこんでおくだけだ。

辛口でドライなマティーニにレシピを探求した結果。技術も経験もいらないレシピにたどりついた。

ドライベルモットの量は微粒子レベル。アルコール度数は高め。マティーニの杯をかさねすぎると。

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