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ロンドンヒル ドライジン 47度【 レビュー記事 】200年ちかくの歴史ある香りがひろがりガツンと辛口

お酒レビュー

ロンドンヒルは、2,000円以下で買えるジンとしては、アルコール度数が47度とたかめで、トップクラスに辛口です。

2,000円以下で辛口のジンをお探しのかたに、自信をもってオススメできます。

ロンドンヒルをカクテルに使うと隠し味にてっし、渋みのある名わき役のようにカクテルパートナーを主役としてひきたてます。

ロンドンヒル ドライジン 47度の特徴

高級な印象をうける青黒い丸。かちっとした文体でLONDONHILLと白く書かれており、赤い文字がピリッと眼をひきつけます。

チープさを感じないお洒落な瓶。

いちばんの特徴は、まるで高級陶磁器の代名詞である、あの器とおなじように、白いキャンパスに青い染料でネズの実が描かれています。

容器のデザインは、味に関係ないかもしれません。しかし、見た目がうつくしい容器からは、ジンのおいしさを期待させるものが発せられているように感じられます。

前面のシールには、ロンドンヒルにはいっているボタニカルのイラストが描かれています。

この3種類だけなのでしょうか。ロンドンヒルは、きわめて辛口であり、どっぷりとした濃密な風味があとに残ります。3種類以外のボタニカルもはいっているように感じられました。さまざまなエッセンが折り重なり重厚、肉圧、ハードでボイルドな風味でした。

アルコール分は47度。40度のジンがおおいなか、アルコール度数は高めです。

それだけに、辛口になり、また、アルコールのコク・旨味も感じられました。

さっそく、フタをひねり、味を確認しましょう。フタをあけた瞬間から、ネズの木が眼のまえに生えたように、瓶の口から香りが漏れだす、森にいるように鬱蒼と濃密、それでいて静寂で新鮮な香りです。

1785年は創業した年でしょうか。日本では天明の大飢饉がおこった時代です。

ストレートで飲んだ感想

無色透明。そしてグラスにへばりつく粘度はないが、アルコール度数の高いお酒特有の、すこし柔和なトロミをかんじる。

深々とネズの香りが部屋中にひろがる。ネズの香りだけでなく、すこし硬質で硬めの香辛料の辛味もある。低価格のジンで、これだけ香りがひろがるジンは稀有。いろいろなジンを飲んだが、お手頃価格のジンのなかで、いちばんネズの香りがしている。

口当たりはピッとシュッと眼鏡がキラリと光るように冷涼。岩をよける清流のように口のなかにはいってくる。口の温度に熱せられたロンドンヒルの香りは、猛炎のごとくひろがり、飛沫のように口いっぱいに飛びちる。

最初の印象は、辛いというか痛いと感じられた。それほどに、強烈なキック感のあるドライな風味。ごくりと胃にロンドンヒルを落とすと、ロンドンブリッジが落ちたような衝撃をうけ、胃のなかの胃液が大氾濫するように、カッカッと熱をおびる。

口のなかには、グレープフルーツの白い皮の部分の苦味があり、歯磨き後のような爽快感がある。口のなかに香りはいつまでも残る。時が立つにつれ、シビシビしていた口内の残り香が、甘茶のような、お釈迦さまのやさしい目のような風味にかわってくる。

ドライ、辛い、風味のひろがり、苦さ、甘さ、五味の大部分をかねそなえた限りなく完璧なジンだった。

ロックで飲んだ感想

おおきい氷をごろりとロックグラスにいれる。ロンドンヒルをとくとくとグラスに注ぎいれる。

常温で飲んだときのロンドンヒルの風味が3Dとすれば、ロックのロンドンヒルの香りは2D。ネズの実の香りが平坦にひろがっています。その他のサムシングの香りは消えている。ネズの実いっぽんという、ジンの原点の香りをたのしめる。

冷やされたことで、さらりと飲みやすい口当たり。飲みやすいぐらい飲みやすくなっている。冷やされたロンドンヒルは、口のなかが、ちょっと痛い、それぐらいドライ。

蝶のような風味と香りが消え、蜂のような針であちこち刺す、そんなロンドンヒルのロック。

辛口ジンがお好きなあなたに。

ロンドンヒルでカクテルを作り飲んだ感想

  • ジントニック
  • マティーニ
  • ギムレット
  • ジンビターズ
  • カンパリジン

ロンドンヒルを、カクテルにつかうと、ロンドンヒルの濛々と香っていたネズやカルダモンの香りは消えます。

そして、カクテルにつかわれた相手のお酒の風味と香り、味をくっきりと描きだしてくれました。

ジントニック

  • ジン:45ml
  • トニックウォーター:適量
  • ライムやレモン:お好みでしぼりいれる

ロンドンヒルと氷をグラスにいれ、バースプーンでかき混ぜ冷やす。トニックウォーターをソッと注ぎいれ、二度三度、氷を持ち上げる。

トニックウォーターのキニーネの香りをシンプルにたのしめる。むんむんと香りを放っていたロンドンヒルの香りはほとんどしない。

甘いか、辛いか、とたずねられたら、カランコロンと硬質に辛くスッキリとした味のジントニックだった。

マティーニ

  • ジン:50ml
  • ドライベルモット:10ml
  • オリーブ:1個

ロンドンヒルとドライベルモット、氷をミキシンググラスにいれ、かき混ぜ冷やす。グラスに注ぎいれ、銀色の棒にオリーブを刺し沈める。

ベルモットの薬草の苦い風味と香りが、ぺっとりと舌にへばりつく。ドライジンと混ぜたベルモットの風味をここまでくっきりと感じられるマティーニはめずらしい。

ベルモットの風味が、胃のヒダに染みこみ、胃をぎゅぎゅうと動かし、食欲をひきだしてくれる。食欲のない日の食前酒として最適の一杯。

ギムレット

  • ジン:45ml
  • ライム:1/4
  • シュガーシロップ:適量

ロンドンヒルとライム、シュガーシロップお好みの量、氷をシェイカーにいれシェイク。白濁した液体をグラスに注ぐ。

青春の手痛い失敗。そんな目をそむけたくなるような青苦いライムの風味がカクテルグラスのうえに漂っている。

うすぐらいシガーレットバーの白い煙が漂っているような老獪な苦味が、この白いカクテルにはある。極めて辛口で苦く、それでいて跳ねずに重く硬い飲み口。

まさに、ハードボイルド小説にでてくるギムレットとは、このような味をしていたのだろうと想像する。ギムレットにはまだはやい。

ジンビターズ

  • ジン:60ml
  • アンゴスチュラビターズ:2~3滴

グラスに大きい氷をドガラといれる。アンゴスチュラビターズを氷に2~3滴ふりかける。ロンドンヒルを注ぎいれる。

薬草を煮こみたおした複雑な香りがしているアンゴスチュラビターズ。アンゴスチュラビターズの厳選された苦い香りと風味がピョンと跳ね、ロンドンヒルの風味と苦味は左右にゆっくりとのびる。

アンゴスチュラビターズの苦さを頂点にし、左右にひろがるロンドンヒルの風味と苦味は、苦さの冬の大三角形。

カンパリジン

  • ジン:30ml
  • カンパリ:30ml

ジンスパイアとカンパリ、氷をミキシンググラスにいれ冷やす。赤くなった液体をグラスに注ぐ。

イタリアの陽気に無邪気に子供のイタズラのように苦いカンパリ。それを辛口のロンドンヒルと混ぜたのだから、さぞや苦いカクテルなんだろうと、ひとくち飲んでみる。

苦くない。いや苦いことは苦いが、苦さを削りに削り、刺繍針のように細くスッキリとした苦さになっており、飲みやすい。ここまで苦くないカンパリジンをはじめて飲んだ。

飲み終わったあとは、赤い風船がはじけるように、カンパリの赤い薬効成分の苦味がズンと胃で炸裂する。

ロンドンヒル ドライジンを飲んだ感想【 まとめ 】

ロンドンヒルは47度とアルコール度数が高め、そして極めて辛口のジンです。

辛口のジンですが、ネズの香りを筆頭に、柑橘系のボタニカルをふんだんにふくませたであろう香り、カルダモン系の硬いスパイスの香りが静かにゆっくりと部屋中にひろがる香り豊かなジン。

2,000円以下で買えるジンのなかでは、トップクラスに香りがよいです。

ロンドンヒルをカクテルにつかうと、豊潤だった香りがシュタッと消え、カクテルの旨さの隠し味的な役割をにないます。カクテルパートナーの香りと風味、味のよいところ引き立てるジェントルマンなジン、それがロンドンヒル。

2,000円以下で買えるジンをお探しのかたがいらっしゃるのであれば、ロンドンヒルをつよくオススメしたいです。

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