この記事は『 檀流クッキング 』で紹介されている「アジゴマみそのデンガク」を再現し食べた感想を書いている記事です。
アジの身とゴマ、あぶった味噌を混ぜてつくるアジゴマみそ。
そのアジゴマみそを豆腐などにぬりつけてデンガクにする料理です。
酢を混ぜると酢みそ和えに早変わり。
ひとつのアジゴマみそからふたつの料理が作れるのです。
いやいや、魚味噌を出汁でのばせばヒヤッ汁もできます。
『 檀流クッキング 』とは、無頼派とよばれた文豪であり料理好きでもあった檀一雄が書きしるした料理エッセイ本です。
男性作家が書いた料理エッセイの金字塔でありパイオニアともいえる一冊。それが『 檀流クッキング 』
おおよその目分量、経験で調理する実践的レシピが網羅されています。
アジゴマみそのデンガクの調理風景【 写真あり 】
アジの身を焼きます。できるだけ油をひかずに焼いたほうが、食感と風味が軽くしつこくありません。
ゴマも弱火でいります。
味噌もあぶります。味噌の香りが、プ~ンとこうばしくなるまであぶりました。
味噌をしっかりとあぶると、アジの生臭さが消えると書かれています。
あぶった味噌はアジを包みこみ、アジのほっこりとした食感と旨味を内包した味噌になります。
すり鉢でイリゴマを丹念にすりましょう。
そして素焼きにしたアジの身もほぐしてくわえます。
さいごにあぶった味噌もくわえ混ぜあわせました。
そして、混ぜあわせた魚味噌をもう一度あぶるのです。焦げないようにじっくりと味噌のなかまで火を通すのが大事だと書かれています。
幸田露伴は香りのよいヒノキに味噌をぬりあぶっていた、などと風雅な話も『 檀流クッキング 』には書かれています。
味噌をあぶり終わればアジゴマみその出来上がりです。
あとは焼いたトウフやコンニャク、里芋、お好みの食材にぬりつけるだけです。
味噌の種類によって味はかわります。
アジのほっこりとした身をくわえているので、ペチャッとした味噌の食感ではありません。空気をいれたように軽い食感です。
そして、ゴマ。このゴマがいい仕事をしていますね。味噌の香りと風味、旨味を数倍ほど厚く強いものにしています、ゴマが。
味噌や塩だけで、日本酒を飲める、そのような話をよく耳にします。このアジゴマみそは、よゆうで日本酒を飲めます。むしろ、アジゴマを口にしたならば、左党は日本酒をもとめるようになります、かくじつに。
お酒を飲めないかたは、ご飯やおにぎりに塗りつけましょう。ご飯やおにぎをいくらでも食べられそうな気持ちにさせてくれます。
アジゴマみそに酢と砂糖をくわると酢みそ和えになります。
お好みの食材と和えてください。味噌だけでかもしだせない風味と香りがあります。旨味と香りが二次元ではなく三次元な酢みそ和えを作れます。
『 檀流クッキング 』には書かれていませんが、納豆との相性もよいです。
陰気にしのびよってくる納豆の匂いが、いくぶんゆるみます。
納豆の陰気な香りが、味噌やゴマの焦げた陽気な香りになり、納豆の旨味だけでなくアジの回遊する旨味をも堪能できるようになります。
デンガクと酢みそ和え、そしてヒヤッ汁にもなるアジゴマみそのデンガクでした。
『 檀流クッキング 』のレシピはこちらの記事にまとめています。
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