10万文字以上エッセイの文章を紙に写経した感想を書いている記事です。
名文と言われなくとも、人が読んでわかりやすい、伝わりやすい文章を書きたい。
語彙を増やしたい。素敵な比喩表現を覚えたい。
ライターやブロガーが文字を書いているとき、24時間悩んでいる問題ではないでしょうか。
文章力と語彙力をあげるには、「 名文を読め 」とよく書かれています。読書をしただけで、文章力と語彙力は増えるものでしょうか。本を読まないよりは、文章力と語彙力はあがるとは思います。
読書は、読んで、書くと書いて読書です。そこで読むだけでなく、文を書いたほうが文章力、語彙力があがるのではと考え、文章の写経をはじめ10万文字以上の写経をしました。
エッセイの文章を10万文字以上写経をして文章力と語彙力があがったか、と言われると自分では判断できません。記事内に写経をはじめるまえの文章と写経を終えてからの文章をのせています。写経の効果をご判断ください。
学びたい文章・エッセイを写経する
写経する文章・エッセイを選ぶポイントは、あなたが学びたい、強化したい、真似したい文章・エッセイを選ぶことです。
私の場合は、料理の味、お酒の味の表現方法の文章・語彙力を高めたいとおもい、料理やお酒について書かれている文章をメインに写経をしました。
人を笑わせる文章を書きたいのであれば、あなたが笑った文章を写経する。文章で物を売りたいのであれば、セールスライティングがうまい文章を写経する。ブログ記事でグーグルのトップに掲載されたいのであれば、検索記事のトップにいるブログ記事を写経する。
あなたの目的にあわせた文章・エッセイを写経しましょう。
小説にかんしてはノータッチですが、小説家になりたのであれば、お好きな小説の写経をすればよいと思います。
好きな作家・ブロガーを選ぶ
一文字、一単語、一文章を写経すれば、文章の経験値のようなものは貯まります。
RPGゲームであれば、敵をたおせば経験値をもらえ、あとドレだけの経験値を貯めたらレベルアップできるかがわかります。
しかし、写経はドレだけ書けば、文章力・語彙力がレベルアップするか、まったくわかりません。レベルがあがるかどうかもわからないのに、ひたすら孤独に紙に文字を書く寂しく辛い作業です。
写経している作家・ブロガーの文章が好きであれば、写経しながら作家・ブロガーと会話をしているような気持ちになり寂しくないです。ただ、あまり好きじゃない作家の写経をしていると、まったく、チッとも楽しくありません。むしろ、その作家を嫌いになるまであります。
こんな文章を書きたいと惚れた作家さん。あなたが影響を受けた自己啓発本など、本当に好きな文章を書く作家・ブロガーの選べば写経を続けられるでしょう。
あなたが心の底から好きな作家・ブロガーを写経することをオススメします。
写経は時間泥棒
『 Campus 』A5サイズの紙1枚に写経していました。10万文字以上を写経してから気づいたのですが、マスが小さく、文字を書くのがシンドかったです。写経をするときは、あなたが書きやすい紙を選びましょう。
1日に1ページ以上写経するのを目標にしていました。だいたい1ページの文字数が、18文字×20文字として最低360文字を書く計算です。360文字でだいたい40分ほどの時間がかかります。
一日40分以上の時間を写経に費やすことになります。そして、それだけの時間をかけても文章力・語彙力はスグにはあがりません。写経に効果あるのと、ひとり無人島においていかれたような不安をおぼえます。写経を続けるには強靭な精神力と気合いが必要です。なんどなんど写経を辞めようと考えたことか。
写経に時間をとられることがメリットになることもあります。たとえば好きな作家のエッセイ文庫本を700円ほどで買ったとします。その本を読むだけであれば1~2時間もあれば読めるでしょう。しかし、その本を写経すると、700円ほどで膨大な時間のヒマつぶしができるのです。写経は、コスパのよい趣味と言えるかもしれません。
実践した写経の方法
写経は紙かパソコンか
私は紙に写経をしました。パソコン入力の写経はしていません。パソコンで写経をしなかった理由として、私は副業でライターの仕事をしており、写経でまでキーボードで文章を入力したくなかったのが理由のひとつです。
あとあわよくば、紙に文字を書き、字がキレイにならないかな、とヨコシマな気持ちもありました。
もうひとつの理由として、字を書く、とくに漢字を書くということは絵を描く行為に似ており、脳がアグレッシブになり、右脳か左脳どちらかの動きが活発になり、想像力が豊かになると読んだことがあったからです。たしかに、文字を書いていると集中しているような”気”になり、いろいろなアイディアが浮かんでは消えたりしました。
紙でもパソコンでも、写経を毎日少しずつでも続けること、それが一番大事。
写経方法
文章やエッセイを読み、「このフレーズいいな」「この文書の表現方法いいな」「ひきつけられた文章」「この文は、ニヤリとさせられた」などなど、気にいった文章が書かれいる段落を丸々写経しました。
紙に文字を書くときは、句読点までの文章をまるまる覚え、本をなるべく見みずに写経しました。文章を1行丸々覚え、写経していると、その作家さんの文章のリズムのようなものに慣れ、文章のリズムを体で覚えることができます。
写経をはじめたときは、1行丸々を覚えられないと思います。焦らずに少しずつでいいので、覚えることができる文字数を増やしていきましょう。
段落を丸ごと写経すると書かせてもらいました。写経の時間があるのであれば、エッセイやブログ記事を丸々写経するのが一番オススメです。エッセイや文章の構成や話の展開がよくわかります。写経している作家の意図や考え方、構成、文章のリズムがよくわかるのです。
知らない言葉を放置しない
写経していると、知らない言葉や意味がわからない言葉がでてくると思います。わからない言葉をそのまま放置せずに、意味を調べてください。
そこで辞書で言葉を調べることになりますが、ここでも紙か電子かという問題がでてきます。私は紙の辞書で調べました。わからない言葉を調べながら、ペラペラと辞書の紙のページをめくっていると、眼に飛びこんでくるほかの単語も覚えられる”気”がしたからです。
わからない言葉を調べるのは紙でも電子辞書どちらもいいです。わからない言葉を放置しなければ。
写経した文章を音読する
読書とは、読んで、書くと書かせてもらいました。
ここでも、あなたが書いた文字を音読しましょう。名文というものは、音読したときに響きがよく、さらさらと音読できます。名文のリズムを音読することで体に染みこませるのです。
そして、音読することで、写しまちがえた場所を見つけることもあります。音読すると、ナニかおかしいなと気づかされます。写経している作家さんのリズムじゃないゾ、と。
エッセイの名人といわれた向田邦子は、書いた文章をなんどもなんども音読したそうです。写経した文字を音読していると、エッセイの名人と言われ、直木賞を受賞した向田邦子にちかづけるかも。
効果を感じなかった写経方法
効果を感じにくい写経のなかでも、とくに効果を感じなかった写経方法がコチラ。
「このフレーズいいな」「この文書の表現方法いいな」「眼をひきつけられた文章だな」「この文は、ニヤリとさせられた」など、お気に入りの文章だけを写経していました、最初は。
一文章だけを写経していると、名言だけを集めているような錯覚をおぼえ、ブツブツと文章が途切れているように感じるようになりました。
好きな文章の前後のつながりを書かないと、そのいいなと思った文章は生きてこないのだ、と思いました。
文章読本と写経は相性がよい
文章を書く人なら、いちどは見かけたであろう、文章読本。
文章読本とは、文章を書くルールや、作家の文章術などを紹介してくれる本と思っているのですが、その認識であってるかは自信ありません。
『文章読本』(ぶんしょうどくほん)は、谷崎潤一郎が読者向けに文章の書き方、読み方を分かりやすく記した文章講座の随筆集。川端康成や三島由紀夫をはじめ、他の作家も同じタイトルを踏襲した文章講座をそれぞれ出版している。
引用元:Wikipedia
文章を読み写経するときに、文章読本を読んでいると、ふかく文章の技術について知ることができます。
「この一文はあの文章読本で紹介されていたテクニックだな」「文末の変化のつけかたが紹介されていた通りだな」と作家の意図がよくわかるのです。
また文章読本は名文と言われる文章を参考にし、文章の技術を紹介しています。文章読本を読み、例文を写経するのもよいでしょう。
文章読本も写経しました。文章を書くうえでのルールや使えそうな文章技術が書かれている文を写経しました。
ルールや文章技術を覚えたのか、と言われると、読んだだけのときよりは覚えたと思います。しかし、読み返さないと、ポロポロと脳みそからこぼれ落ち忘れます。つねひごろ文章を書くときに、文章を書くルールや文章術を忘れないように日常的に使いながら覚えていくしかありません。
オススメの文章読本
- 日本語の作文技術
- 書くための文章読本
- 丸谷才一・文章読本
この三冊がオススメの文章読本になります。
日本語の作文技術
どの文章読本を買おうか迷ったら、この本を買っておけば間違いないでしょう。
文字を書く人間が迷うであろう、修飾語の順番、句読点の打ち方、助詞の使い方がていねいに書かれています。この本を何度か読みかえせば、駄文を書くことはなくなるでしょう、おそらく、たぶん、メイビー。私も何度も読みかえしているのですが、駄文を書くことはなくなった、と断言できないのが辛いところです。
記者出身の作者が書かれた本なので、エッセイやニュース記事を書く文章技術に重点がおかれています。
修飾語の順番、句読点の打ち方を頭にいれ、写経すると「なるほど、本に書かれているとおりに作家さんは文章を書いているな」と何度も気づきました。
書くための文章読本
オススメする文章読本のなかで、書かれたのが一番あたらしい文章読本です。
この文章読本は、文末問題に焦点をあて書かれています。日本語の文字を書くうえで苦労する文末問題、避けては通れませんよね。
書いた文章を読みかえすと、『 ます、ます、ます 』『 です、です、です 』『 た、た、た 』と続いている。なんどこの文末問題に悩まされたか。
ほかの文章読本でも文末問題をとりあげています。しかし、リズムだ、修行だ、長年の勘だ、と書かれている文章読本がおおいです。しかし、この本は具体的に文末が続かないテクニックを教えてくれています。
文末におなじ語尾になって困っているかたにオススメの文章読本です。
丸谷才一・文章読本
芥川賞受賞作家であり、翻訳家、随筆家、文芸評論家と数おおくの顔をもつ丸谷才一が書いた文章読本。
圧巻なのは『 野火 』という小説に使われている文章技術を紹介しているところでしょう。両手の指だけでは、文章技術の数を数えることはできないです。それほど多くの文章技術を紹介しています。
いきなりすべての文章技術を身につけようとせず、少しずつ少しずつ文章技術を身につけるのがよいでしょう。写経していたときに「あぁ、丸谷才一が紹介していた文章技術だ」となんども気づかされました。
「名文を読め」と書かれたいた文章読本でもあります。ただ、欠点として紹介している文章がやや古いことと、漢文や英文を引用している箇所もあるので読みにくいと感じるかたもいるかもしれません。
10万文字以上エッセイを写経した感想【 まとめ 】
写経は、時間が膨大にとられ、ひとり黙々と孤独な作業です。
そして、文章力があがったかどうかは、まったく、ちっとも、すぐには実感できません。
写経を続けるには、強靭な精神力と、コツコツと無骨に文字にむきあう愚直さが必要になってきます。
努力なくして文章力・語彙力つかず、少年漫画のようなコンセプトが写経の結論になりました。
語彙能力、文章力は一日にしてならず。
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