この記事は、六調子酒造の本吟『六調子』35度を飲んだ感想を書いています。
7年も熟成させ、水分をとばした結果アルコール度数は35度と、海外のスピリタスなみに高いです。
7年も熟成させているのにお値段は三千円以下。
沖縄のクースーによくにた心地よい熟成された香り。
アルコール度数は高い、けれども飲み口はさっぱりとしており飲みやすいです。
ストレートやロック、水割り、お湯割り、カクテルなどなど、飲みかたをかえるたびに味の印象がかわる焼酎でもありました。
焼酎であり泡盛であり、白ワインや日本酒、スピリタスのようにと味わいを巧妙に変化させてくれます。
一本でいろいろなお酒の味をたのしめる焼酎といえます。
六調子を飲んだ感想
ストレート
沖縄のクースーのように熟成されたふくよかな香りが、つーんと鼻にとどきます。
黒酢のような酸っぱさ、そのなかに赤い花をつけこんだような甘い香りもあります。
熟成されたお酒によくかんじられる、どっしりとした陰翳ともいえる重く複雑な香り。
泡盛や熟成させた日本酒の匂いが苦手なひとは飲めない焼酎だとおもいます。
ぎゃくに、年月が磨きあげたお酒の香りが好きなひとは、にっこりと微笑む香りです。
口当たりは、とろみがあり柔媚。すこし酸味があります。テキーラなどのリュウゼツランによくにた陽気にするどい酸味です。
その酸味のおかげで、複雑な風味が先鋭化し口あたりは、非常にさっぱりしています。
そして、六調子が体の熱と反応すると、華やかともいえる香りと風味が、爆裂、炸裂、爆散します。
椿の花のように幽玄な甘味、マシュマロを火であぶったようなチャーミングな甘味が一斉に声をあげふくらみます。
そして、炭火でお餅をふくらまし、醤油につけこみ海苔を巻いたような苦みと風味、香りもかすかに感じました。
アルコール度数は35度とたかいです。急速に浸透してくるタイプのアルコールではありません。
ゆるゆると蛇行しながら、それでも本陣にゆっくりちかづいてくる腰のすわった厚く奥深いアルコールの浸透率。
六調子をそそいた器を目の前におき、飲んだり、香りをたしかめたりしていると、あるとき、六調子の香りが消えた、そのように感じました。
六調子の香りと風味が、澄むというよりも、わたしの五感とが溶けあい、まるで湯船につかっているかのように心地よい空気につつまれます。
口と鼻だけでなく、全身で酔いにひたれる心地よい体験。
創業100年以上続く至高の焼酎蔵【六調子酒造】ロック
でかい氷に六調子をそそいだ瞬間、ぱッと香りの大輪の花があざやかにひろがります。
そのあと、香りは収斂していきました。
冷やされた六調子は、酸っぱさが前面にでてきてます。酸っぱさといっても安物の酢のように、つーんと鼻につく酸味ではありません。
酸味の角がとれた黒酢のようにまろやかな酸味です。
酸味があり、冷やされた六調子はシャープな口あたりになります。
歯、舌、のどちんこ、どこに触ることなく、するすると胃に落ちていきます。
胃液と混ざりあうと、冷やされ固められた熟した風味がふたたび勃興します。
六調子の7年間ほど熟成された風味は、飲んだつぎの日も胃のなかにとどまっていました。
水割り
割る水の味わいから味の印象はかわると思います。
日本酒を蒸したときの甘いような、つきたてのお餅のような香りがつよくなっています。
冷蔵庫からとりだしたばかりの生絞りの日本酒によくにた風味です。
飲んでみると、白ワインのような果実的な酸味。そして、辛口の日本酒によくにた透明感のある旨味。
水割りは、アルコールに侵攻ぐあいがはやい、そのように感じました。
するすると飲めます。けれども飲みすぎには御注意くださいませ。
お湯割り
おもったよりも香りがひらかない、と思いました。
いや、白い湯気にのって、ドライアイスの煙のように沈降するような緻密にして豊穣にして心地よいフレーバーが、部屋のすみずみにまで広がります。
口あたりにかんしてはお湯割りが、もっともマイルドです。温度にもよりますが、40℃ほどが適温でしょうか。
乳製品のような甘み、米の粉でつくった麺のような風味、青いリンゴの酸味、さまざまな要素があらわれては消えていきます。
あなたの口、舌、鼻のうえに顕現する風味は。
創業100年以上続く至高の焼酎蔵【六調子酒造】六調子をつかったカクテル
ライム
六調子とライムを氷のはいったグラスにいれ混ぜあわせました。
六調子にあった香りと風味が、ぴたりと消えます。
ライムの苦味ばしった蒼い香りがただよっています。
飲んでみると、ジンとライムでつくるギムレットのような味わいだと思いました。
六調子のもっていた風味は、ライムと混ざりあいスピリタスのようにハードボイルドな味わいへと転化しています。
飲みおわったあとに、上新粉をゆでたような醸造香が、ふわりと鼻からぬけます。
酎ティーニ
ジンとドライベルモットでつくるもっとも有名かもしれないマティーニ。
それの六調子版です。
早朝の湖畔のように涼しいグラスのうえがにぎやか。
薬草やハーブ、酒蔵のなかのような静かな香りが混ざりあっています。
味わいは立体感があります。
薬草が窓につるされている、そして、その窓の奥には金色にみのった日本米がさわさわと踊っているような味わい。
六調子小町
ホワイトキュラソーとレモンジュースをいれたカクテルは、ばつぐんに飲みやすくなると思っています。
六調子のまわりに甘味と酸味のおべべを着せ、すこしおしろいをつけ爽やかに飲みやすい一杯。
甘味と酸味がさったあとに、ちょうちんに灯りをともすように六調子のひかえめな風味を感じとれます。
村雨
六調子とドランブイ(蜂蜜酒に薬草をいれた甘めのリキュール)、レモンジュースを氷のはいったグラスにいれ混ぜあわせます。
じっとりとした口あたり。蜂蜜、いや、甘めののど飴が溶けたような甘み。
そして、甘さが消えていくと六調子の穏やかな風味がひろがります。
六調子酒造 本吟六調子を飲んだ感想【まとめ】
7年ほど熟成させた焼酎。けれどもお値段は三千円以下。
長いあいだ寝かされた六調子の香りは、飲んだ次の日も胃に残っていました。
香りは芳醇。お酒が苦手なひとは飲めないかもしれません。
飲みなれてくると、飲みつかれない、それでいて、厚みのある旨味、複雑な余韻を堪能できます。
そして、まるで六調子と一体化したかのように心地よい空気にひたれます。
お湯割り、水割り、カクテル、飲みかたをかえると六調子は、日本酒になったり、白いワインになったり、スピリタスになったりとさまざまな顔をみせてくれる愉快な焼酎です。
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