この記事は、牡蠣の干物・ドライの作り方を書いています。
海の果汁をぎゅっと濃縮した御馳走、それが海の干し牡蠣です。
ゆでるか蒸してから乾燥させるだけです。
燻製を筆頭に牡蠣の干物をつかったアレンジレシピも書いています。
牡蠣を雑に調理すると、お腹がぴーぴーになる可能性があります。さいあく死にいたるケースもあります。消毒をし、清潔な調理器具をお使いください。
天候に左右させることなく部屋のなかで食材を乾燥できるフードドライヤーを使いました。
干し牡蠣(がき)の作り方
干し牡蠣の作り方は、牡蠣をゆでるか蒸し、牡蠣を乾燥させるだけです。
牡蠣の旨味が逃げにくい蒸す方法で干し牡蠣を作っていきます。
牡蠣を深めの容器にいれます。このまま蒸しますので、熱さに強いお皿をえらんでください。
そのまま蒸してもいいのですが、牡蠣のうまみをたかめるために、日本酒をたっぷりとふりかけます。
牡蠣のうまみが逃げず、牡蠣がふっくらとしあがります(最終的には、乾燥させカラカラにしますが)
牡蠣をふつうに調理するときも日本酒をふりかけ蒸すと、牡蠣がふっくらと柔らかくミルキーにしあがりますよ。
日本酒をふった牡蠣をいれたお皿を蒸し器にいれ、10分ほど蒸します。牡蠣のなかまで火が通ればOKです。
時間は短縮してもらってもかまいません。しかし、牡蠣のなかまで火をしっかりと通してくださいね。ノロりますゾ。
蒸した牡蠣が手にもてる温度になるまで冷ましましょう。手でもてる温度になれば、牡蠣の表面の水分をキッチンペーパーなどでふきとります。
フードドライヤーのコンテナに、蒸した牡蠣をかさならないように並べます。
ここでひと手間。スプレーボトルにウォッカをいれ、牡蠣にうすく吹きつけておきます。アルコール度数が高く殺菌効果があり、ウォッカは清廉潔白な香りのお酒です。牡蠣の風味を壊すことなく殺菌できます。
日本酒や焼酎を吹きかけてもらってもかまいません。和風の香りをたのしめるでしょう。白ワインなども、洋風に仕上がりがたのしいかもしれません。
フードドライヤーの温度設定は、いちばん低温に設定しましょう。高温で乾燥させると水分と旨みが、一気にぬける可能性があります。
牡蠣が乾燥しすぎると、フードドライヤーのコンテナにくっつく恐れがあります。牡蠣の表面が乾くまでは、30分ごとに牡蠣の表と裏をコロコロとひっくり返してください。
24時間後、そこには、旨味が凝縮された黒い宝石のように、しっとりとした干し牡蠣ができていました。
干し牡蠣を食べる
牡蠣のお好みの硬さがあり、牡蠣の状態などで食べた感想はかわると思われます。
手にもった感じは、干しレーズンや干し柿より硬いです。ぐっと力をいれると凹む柔らかさはあります。
ひとくち干し牡蠣をかじります。硬い表面は、前歯でさくりと裂ける硬さ、ホタテの貝柱よりも柔らかいです。牡蠣の旨味が凝縮されているぽってりとした部分は、旨さが凝縮され黒光している黒真珠のように煌めいています。
噛んだり、舌のうえで転がしていると、じゅわじゅわと旨みが染みでてきますね。水分がないので、ほろりとはらりと崩れるような牡蠣の身。その牡蠣の身からは、深海のように黒く静かで、かつ栄養が沈殿しているような旨味が潤と染みでてきます。
ご飯のあてというよりも、お酒のあてですね、干し牡蠣を食べた人は、極上のお酒のあてのひとつにあげざるをえないでしょう。
日本酒や白ワイン、ゆっくりとウイスキーなどとあわせてもよいものです。
干し牡蠣を燻製にすること
- 段ボールを用意する
- 段ボールの上部に棒を2本さし通す
- 干し牡蠣を金網をのせる
- 干し牡蠣をのせた金網を、2本の棒のうえに落ちないようにのせる
- 耐熱容器を段ボール下部におく
- スモークウッドに火をつけ、耐熱容器におく
- 段ボールのフタをしめると燻製開始
- スモークウッドから燻煙がでなくなれば、段ボールのフタをあける
- スモークウッドをきっちり消火する
ガスバーナーでスモークウッドに火をつける。ヤケドや火事に注意が必要です。しかし、いちばん楽にスモークウッドに火をつける方法だと思います。
スモークウッドから煙がでているのを確認し、耐熱容器のうえに置きましょう。段ボールのフタをしめれば燻製開始。おおよそ写真の長さのスモークウッドで2~4時間ほど燻せます。
スモークウッドは途中で火が消える可能性があります。途中で火が消えていないか確認しましょう。
段ボールの隙間から煙がでなくなれば燻製終了です。段ボールのフタをあけ、干し牡蠣をのせた金網をとりだしましょう。
スモークウッドは消えたように見えても、炭のように内部に熱をもっているときがあります。スモークウッドの熱のご確認はキチンとしましょうね。
燻したばかりの干し牡蠣は苦く、渋く、酸っぱい香りがしています。風にあてることで、嫌な香りが、燻製のよい香りになるのです。
燻しただけでも、干し牡蠣はスモーキーなフレーバーがプラスされ、極上よりもうえのオツマミになりました。そこへ、さらにおいしく、さらに保存期間をあげる工夫をこらしてみましょう。なになに簡単なことです。お好みの香草やニンニク、唐辛子、オリーブオイルに漬けます。
しっかりと空気をぬき、1日以上漬けこみます。オリーブオイルが染みこみ、すこし柔らかくなった牡蠣の身。その身には、香草の香りとニンニクと唐辛子の香りがしてくる牡蠣の干物の燻製という三種の神器をかねそなえたようなオツマミになるのです。
あとは冷蔵庫にいれ保存しておきます。食べるときはビニール袋からとりだし食べましょう。保存期間は、干し牡蠣をどれだけ乾燥させたかによって違ってきます。牡蠣にあたると大変です。危険と感じられたときは、すみやかにエイッと捨ててくださいね。
牡蠣の干物の燻製を、そのまま食べてもよいのですが、油煮がホット、ホッター、ホッテストです。アヒージョといわれるやつですね。オリーブオイルごと鍋にいれ、ニンニクをプラスしたりしましょう。
ここでご家庭にあるのならば、アンチョビをひとかけらいれると風味がぐっとよくなります。海の旨味を上のせするイメージですね。弱火でグツグツ煮ましょう。
油が熱せられてくると、スモーキーな香りにのって牡蠣の凝縮された旨味を鼻で視れるように感じられます。アンチョビをいれたことで、味の複雑さが深堀りさせ、これは、これはと両手をこすり、どのお酒を飲もうかと考えてください。
オイルが煮たぎっており熱々です、火傷には御注意しながらいただきましょう。机のうえに、白い波浪のような燻煙の香りをふくんだ湯気がたち、オリーブの海がぶつぶつと泡をあげ、その海の下に悠然と鎮座している干し牡蠣のゆるがない旨味。
これまた火傷に注意しながら、干し牡蠣をパクリ。これは、これは。
干し牡蠣をつかったアレンジレシピ
干し牡蠣で和風の料理を作るときは、燻製していない牡蠣のほうが和風の繊細な香りを壊しません。
かきご飯
白米を洗い1時間ほど浸水させておき、1合にたして、200ccの水をいれます。醤油を大さじ1、日本酒:大さじ1をお好みで足してください。塩だけでも、干し牡蠣からええ出汁がだますさかい、おいしく食べれまっせ。
コンロの火力によって違いますが参考までに時間を書いておきます。沸騰するまで強火、沸騰したら弱火にして15分。湯気がでなくなれば、一瞬強火に。そして、火を消し、15分ほどむらしましょう。
シャモジでご飯を混ぜて器に盛りつけます。
お汁をすった牡蠣は、すこし膨らみ、かつ柔らかくなっています。しかし、それでもぽってりと肉厚な重さはあります。
お醤油と日本酒だけなのに、白米ひと粒ひと粒に、ちいさい牡蠣をうめこんだようなミッチリとした旨味が染みこんでいます。
ふつうの牡蠣ご飯よりも、イワガキのような硬質かつ硬いミネラルの風味、舌に記憶される味わいがありました。
かき雑炊
水:700ccに干し牡蠣と干し貝柱、昆布を漬けこんでおきます。長く漬けこむと風味はよくなります。そうですね、半日から1日ほど冷暗所で漬けこみましょう。
洗った白米を1/2合をいれ、お米がスープをすい、いい感じになるまで弱火でコトコト炊きます。すこしのゴマ油を垂らしておきます。
私めはというと、弱火で炊かずに、保温調理機でお粥に仕あげました。火を使わなずに楽チンです。
高級な中華屋料理屋さんで提供されるような極上のお粥。
中国では、乾物が重宝されます。その理由がわかるお粥ですね。生では決してだすことのできない、重厚と肉厚をかさねあわたむっちりとお汁。
それでいてサラリと食べられるのは、白米ひと粒ひと粒に旨味が染みこみ、花が咲いたように軽くなっている白米。
どて鍋
干し牡蠣と昆布を水にいれ、弱火でコトコトと煮ます。お好みの野菜をくわえ、お好みのお味噌をといて味をととのえてください。
味噌に負けない干し牡蠣のパワー。寒い日にこいつをはふはふっ言いながら、牡蠣の身から飛びだす海のパワーを感じる熱き血潮にビクビクしながら食べていると、体の芯からホカホカに。
お好みで七味をひとふり、ふたふり。
かきうどん
干し牡蠣と昆布を水につけ弱火にかけます。沸騰しかけたら、昆布と取りのぞきましょう。
醤油や日本酒、みりんで味を整えましょう。醤油のかわりに、しょっつるなどの魚醤をくわえると香りがふくらみます。
牡蠣を卵でとじたり、長ネギを煮込んでトッピングしたり、シンプルで飽きのこないお汁。アレンジは無限大です。
かきパスタ
洋風の料理には、燻製の香りもミートしやすいです。
干し牡蠣を漬けこんだオリーブオイルを使ったパスタ。
干し牡蠣のうまさを余すことなく堪能できるパスタ。冷蔵庫に干し牡蠣を漬けこんだオリーブオイルがあるだけで、いつものパスタが、こじゃれたお店で提供されるパスタになるんです。
かきピラフ
みじん切りにしたニンニクとタマネギ、ニンジンをフライパンにいれ弱火で炒めます。
ニンニクの香りがたち、タマネギが半透明になれば、お米をいれます。さらに炒め、お米が透明になるまで炒めましょう。
お米が透明になれば、ひたひたに浸かる水と干し牡蠣、塩と胡椒を少々、白ワインも少々。お好みでチキンブイヨンなどをいれるのもよいでしょう。
フタをして、水分がなくなりパチパチと音がするまで弱火で煮ます。
干し牡蠣は、まるで海のベーコンである、と私はここに宣言します。
干し牡蠣は和風でも洋風でも中華でもイケます。
干し牡蠣を作った感想【 まとめ 】
牡蠣を蒸して、乾燥させる、2ステップで作れる干し牡蠣。
たった2ステップの調理工程で、これだけおいしいオツマミになるなんて、いままで牡蠣を干してこなかった人生、なんと無駄にしてきたのだろうと思いました。
牡蠣を干すことで、旨味を凝縮し、牡蠣をたのしめる期間もふえます。さらに燻製にすれば、ますます保存期間はながくなるでしょう。
干し貝柱のように、干し牡蠣からは出汁がとれます。かきご飯、かき粥、パスタ、ピラフ、炭水化物に干し牡蠣のエキスが染みこんで、それは、それは、もう。
お家のなかで食材を乾燥できるフードドライヤーで牡蠣を乾燥させました。異常気象がつづく今の日本。急な通り雨がきても大丈夫。
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