この記事は、SPRING VALLEYの三種類を飲んだ感想を書いています。
飲んだ銘柄は、香・豊潤・シルクエールの三種類です。
ふつうのビールよりも、すこしだけお高い値段でクラフトビールをたのしめるシリーズです。
クラフトビールの入門編にぴったりといえます。
飲みやすい香。黒ビールよりの豊潤。泡立ち口当たりのよいシルクエール。
クラフトビールの好みがわかる、かもしれないシリーズです。
すべてのビールは、冷蔵庫に8時間以上いれてから飲みました。
香
香のかおりは、日本人がよくかぎなれているフレーバー。
澄んで明るい清水に、小麦とホップをいれた華やかなかおり。
キレ、ドライ、その一点にかぎっていうのであれば、香がいちばんです。
暑い日にまず飲みたいのも香。
水よりも飲みやすい、ホップの苦味が液体をぎゅッとしぼり、シャープでドライな口あたり。
その爽やかさは、日本海の切り立った崖のうえにたち、乾いた風につよく体を洗われるように晴れ晴れとした清々しさ。
泡の存在感は希薄です。爽快という名の奔流に、あッというまに泡は胃に落ちていきます。
ビールの重量は、炭酸の泡のおかげで無重力になったように軽いです。舌のうえにのせても空気をふくんだような新鮮な軽さ。
飲みおわった口のなかには、ホップの苦味が、笹船が流れるようにゆるゆると広がります。
ホップの苦味は、薬草やハーブほどに主張するものでなく、コリアンダーの種とレモンの皮を混ぜたようなビターな味わいです。
ホップの苦味が消えたあとの口中は、晴れた霧ヶ峰に身をさらしたような清潔な空気が充満します。
あえかなにオレンジによく似た風味をすこし感じました。
豊潤
キリンといえばのラガービールを重厚にしたような装い。
泡の密度はこく、発泡もつよいです。
小麦をかるくローストしたような芳しい香り。
赤茶色の液体の歩みはおそく、半紙に落ちた墨のように、じわりと広がるようなのどごし。
液体そのものが、のっぷりと重い。
小麦や大麦をローストしたような苦み、ハチミツによくにた甘味、活きのよい炭酸の泡などなどコンテンツが複雑。
手ごたえのある苦みは、しっかりと感じられます。けれども、ビールにふくまれている様々な要素が苦味の角をけずり、まるい、まろい苦味にしています。
ラガービールよりも、味わいや香りはふくよか。黒ビールよりは、ビターさは繊細。
シルクエール
泡が、もっこり。表面張力を無視して、もりあがっています。
だれもがサンタクロースになるほどに、密度が濃く、それでいて軽く、極上の泡風呂のような持続力ともつ白い泡。
口をどっぷりと泡につけると、ふわふわとしたガイアにだきしめられたような愛を感じました。
淡く輝く黄金色の液体は、苦味をかんじない、いや、苦い成分は存在している、と思います。
けれども、飲んだ印象は、ほのかに甘い、もしくは酸っぱい、そんな印象です。
砂糖をいれていないケーキのような甘味。若いブドウでつくられた発酵していない青い酸味。
甘味と酸味は、すこし酸味が勝っています。
酸味が甘みをおさえてくれるおかげで、ゆたかなコクだけが広がり、ビールの風味をエレガントにし、さらに味わいを濃密なものにしています。
それでいて酸味のおかげで、後味は軽快そのもの。
シルクエールにかんしては、あわせる料理をえらぶと思いました。
繊細な味の料理だと、反発しあう恐れがあります。
そのほかのビールは、食事にあわせやすいです。
SPRING VALLEYを飲んだ感想【まとめ】
SPRING VALLEYは、それぞれが個性や特徴がしっかりとしたクラフトビールだと思いました。
ふつうのビールよりも、すこしだけ10円玉をいくつか払えばクラフトビールを飲めます。
クラフトビールの登竜門としては十分な香りと風味、味だと思いました。
ただ、クラフトビールの沼にはまると、ズブズブとしずみこむ危険もあります。
SPRING VALLEYを飲み、クラフトビールの沼へと吶喊する覚悟は。
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