この記事は、『 檀流クッキング 』で紹介されている「 干しダラとトウガンのあんかけ 」を再現し食べた感想を書いている記事です。
いっぽん丸々の干しダラは、いまやベラボウな値段で売られています。
そして、めったに見かけません。
檀一雄がエッセイを書いたときですら、いっぽん丸々の干しダラを見つけられなかったそうです。
干しダラをとろとろと煮こむと柔和で滋味があり魚の臭みなど一切ない高貴なスープを作れます。
たったひとつの素材から、これほどよいスープがとれるのか、と驚かされることでしょう。
ただし、いま干しダラは高いです。フードドライヤーで自作しました。
お手頃価格で干しダラを作れます。
干しダラは、九州から京都にかけてひろがった食文化です。これは、ポルトガルと貿易していた影響があるのではと私は考えています。
なぜ、そう思うのか。ポルトガルにはバカリャウという料理と干しダラとトウガンのレシピがよく似ています。
干しダラは、西洋でも重宝される素材なのです。さらには、干しダラを熱心に信仰している騎士団が存在するとかしないとか。
さて、さっそく干しダラとトウガンのあんかけを作っていきましょう。
干しダラとトウガンのあんかけの調理風景【 写真あり 】
てきどな大きさにわった干しダラをたっぷりの水につけ柔らかくしておきます。
たまに水をかえたほうがよいかもしれません。
柔らかくなった干しダラを裂いたり、切ったりし、お好みの大きさにします。
皮は、包丁で切れません。歯がたたないのでポイッと捨ててはいけませんゾ。干しダラの皮が、もっとも美味だと書かれいます。実際に美味です。
とろんとしたゼラチンたっぷりといった食感。はんなりとした甘味があり鮭やタイの皮に匹敵、いや、もしかしたら。
料理をつづけましょう。水と昆布を鍋にいれます。そして、お好みの大きさにした干しダラもいれましょう。
トロトロとした弱火にかけ、ポコポコと5mmほどの泡が鍋肌についたら昆布を鍋からひきあげます。
弱火にて干しダラが柔らかくなるまでゆでます。
干しダラが柔らかくなれば、塩と日本酒を味をととのえましょう。ここでしっかりと味をつける必要はありません。
ほんのりと味がつくぐらいでかまいません。
お好みの大きさに切ったじゃがいもをくわえ弱火で煮ます。じゃがいもに串がスーッと通せるほどの柔らかくになるま煮ましょう。
じゃがいもを煮ているあいだに、トウガンの皮をむきお好みの形に切っておきます。
じゃがいもが柔らかくなればトウガンをくわえます。トウガンが半透明になり、お好みの硬さになるまで煮ましょう。
じゃがいもとトウガンをいっしょにいれてはダメなのか。
ジャガイモがゆであがるまえに、トウガンが半透明をとおりこしグジュグジュになると思います。
かたくり粉に水をいれとかします。水でといたかたくり粉を干しダラを煮ている鍋にそそぎいれましょう。
しっかりとしたトロみをつけたいときは、かたくり粉をおおくいれてください。
弱火で煮ていると液状のスープが、トロんとしてきます。ここで火をとめ、ショウガのしぼり汁をいれます。そして醤油や塩で味をととのえてください。
檀一雄は、味をととのえてからショウガのしぼり汁をいれるように書いています。お好みの順番で調理してください。
あつあつを盛りつければ、干しダラとトウガンのあんかけの出来上がりです。ショウガや柚子を飾るとよいと書かれています。
あれだけ煮こまれたというのに、干しダラの形は残っています。干しダラの澄んだ滋味ある香りと風味は、お汁にしみだし、トウガンとジャガイモに吸収されています。
じゅわんと崩れるトウガンから干しダラの旨味と香りが楚々としてこぼれ落ちてくるではありません。
ジャガイモからは、わーっと海の波のような干しダラの旨味がおしよせてきます。
しっかりとした旨味をだした干しダラです。しかし、干しダラの身のうちには、まだま旨味が残っています。
干しダラの旨味だけでなく、ジャガイモの朴訥とした風味、トウガンの清楚の甘味が沁みこんでいます。
日本人の心をほっこりとさせてくれる柔和な風味と香り。
消えてしまうにはもったいない干しダラ文化だと思いました。
『 檀流クッキング 』のレシピはこちらの記事にまとめています。
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