この記事では、『 日本酒を味わう 』を読んだ感想を書いています。
日本酒の知識を深めたい人、日本酒の知識があまりなく、本醸造と純米酒、生酛と速醸などの違い、精米歩合(せいまいぶあい)や杜氏(とうじ)って何なんだろう、と知りたいかたが『 日本酒を味わう 』を読むと、奥深い日本酒の知識を学ぶことができます。
また日本酒を飲んだときに、日本酒の香りと味を披露したいと考えているかたや。
「おいしい」「さっぱりしている」だけでなく、日本酒の香りと味の表現語彙を学びたいかた、表現語彙をふやしたいかたにもオススメです。
『 日本酒を味わう 』を書いたのは、世界一のソムリエに輝いたこともある田崎 眞也さん。世界一のソムリエが日本酒の知識を幅広く教えてくれます。さらに、日本酒の香り味の表現方法を書いています。
テイスティングした日本酒は50本以上。日本酒1本、1本の香りと味を解説。50本も解説していますので、かぶっている語彙もあります。しかし、本を読み語彙を収集したところ、香りの表現語彙は100以上、味の表現語彙は30以上。
『 日本酒を味わう 』を読めば、日本酒の製造のちがい、日本酒の種類の違いを知ることができます。さらに、日本酒を冷・常・燗にした味のちがい、精米歩合、杜氏、麹のちがいによる日本酒の味の差などを確認できるのです。これであなたも日本酒ソムリエ?
作者の田崎 眞也さんとは。
田崎 眞也(たさき しんや、1958年3月21日 – )は、日本のソムリエ、ワインタレント、料理評論家。有限会社サンティール代表取締役社長、有限会社インターソムリエ代表取締役社長、有限会社エルミタージュ代表取締役社長、日本ソムリエ協会会長、一般社団法人全日本・食学会理事[1]。報道などでは新字体で田崎 真也(たさき しんや)と表記されることもある。
引用元:Wikipedia
1983年 日本における、全国ソムリエ最高技術章コンクールに優勝。
引用元:Wikipedia
1995年5月 第8回世界最優秀ソムリエコンクール優勝。
経歴を見るかぎりワイン畑の田崎 眞也さん。世界を旅行したときはワイン、焼酎が有名な地域に旅行したときは焼酎、それ以外の日本の地域を旅行するときは、日本酒を飲むことがおおいと書かれていました。
田崎 眞也さんが、日本酒をしこたま飲んで、ヘベレケになったエピソードが最初に書かれています。
田崎 眞也さんは、ワインの勉強だけでなく、日本酒業界から依頼があり、日本酒の味の分類をし、日本酒の勉強もしたのです。
この本は役立つだけでなく、読書に寄り添っていると思った一節があります。
コストパフォーマンスを重要視することです。「おいしい」と思うことは、好みに合うことに加えて、「この値段で飲める」ということが重要なことなのです。
引用元:日本酒を味わう
「おいしい」と思っても、1杯5,000円では、たまったものではありません。
田崎 眞也さんの日本酒の香りと味の表現語彙を学べます。しかし、やはり日本酒の香りと味の表現語彙を自分のものにするためには、日本酒を実際に飲む必要があるでしょう。
そこで、『 日本酒を味わう 』でテイスティングしていた日本酒を取り寄せ、実際にテイスティングしました。取り寄せた日本酒は、720mlですべて2,000円以内です。720mlで1,000円を切る日本酒もあります。お手頃価格ですが、まろやか、ふくよか、シャープで苦味があり淡麗。テイスティングした3本は、飲みやすくおいしい日本酒でした。
オコヅカイの範囲内で、おいしい日本酒は沢山あるのですね。
日本酒の香りと味を表現する
色
一般的に皆さまがご存知の日本酒は、無色透明でしょう。
製法によって白濁している日本酒もあります。
熟成させた日本酒は琥珀色です。『 日本語を味わう 』には、琥珀色の表現語彙も書かれています。どぶろく系の白濁した色は、『 日本語を味わう 』では触れられていません。各自で表現方法を学ぶしかありません。
どぶろくの色を表現するのであれば、乳色、馬乳酒、甘酒、ヨーグルト、などでしょうか、表現語彙としては。
香り
色を見たあとは、日本酒の香りの確認ですね。
田崎 眞也さんが日本酒の香りの表現語彙は、大きくわけて「和風」「果物」「乳製品」「デザート」の4つ。その他として「抽象的なワード」や、花や木、ナッツ、香辛料などがあります。
和風の香りは、醤油や味噌、米、大豆、粉。乳製品はミルクや生クリーム、バターから、発酵食品のチーズやヨーグルトまであります。
果物はリンゴやオレンジ、ブドウ、キウイ、トロピカルなフルーツなどです。デザートの香りは、黒糖からメープルシロップ、カラメルプリン、マシュマロ、クラッカーなどです。
抽象的なワードとしては、酸や苦、淡麗、吟醸香などの漢字系。ソフト、ミネラル、クリーミー、フルーティーなどのカタカナ系に分類できます。
日本酒の香りの語彙はおおいです。それだけワインとおなじで、日本酒も香りが重要なのでしょう。『 日本酒を味わう 』で使われている表現語彙は、日常にあふれている言語です。あなたが日本酒の香りを確認し、そのまま感じた香りを言語化するとよいでしょう。3つか4つほど表現語彙を重ねることで、日本酒の表現が広がります。
たとえば、青リンゴの香りとマスカットの香りがあり、フルーティーでクリーンな香りの日本酒です。
または、カスタードクリームのやわらかい香りと、すこし果物のシロップ漬けのような甘い香りがあり、吟醸香がふくよかです。
などでしょうか。日本酒の香りを説明するときに「です、ます」と自信満々に言いきることで「コイツできる」と思われることでしょう。
味
日本酒を飲んで味を表現する下準備として、辛口か甘口か見極める必要があります。
え?辛口か甘口か、なんて分からないよ。安心してください『 日本酒を味わう 』には、辛口か甘口の見極めかたも書いています。至れり尽くせりの『 日本酒を味わう 』
辛口の表現として、苦味系と酸味系に分かれます。苦味系は荒々しい、軽快、淡麗、軽やか、キレがある、シャッキなどです。酸味系の表現語彙は、クリーン、シャープ、クリア。辛口の表現は、ビールや酎ハイに使われそうな表現語彙がおおいイメージです。
荒々しくシャッキとした飲み口。軽快でシャープな後味。舌で感じたままに組み合わせてみましょう。
甘口の表現は、まろやか、ふくらみ、なめらか、やさしい、重厚、丸み。カタカナでは、マイルド、ミルキー、クリーミー。甘口の表現語彙は、お菓子などに使われる味の表現がおおいです。
辛口と甘口、どちらにも使える表現語彙もあります。しっかり、広がる、コクのある味。フレッシュ、バランス、ボディー、ボリュームなどがあげられます。
日本酒の味の表現語彙は、香りよりも少ないです。また、香りの表現を味の表現に使ってもかまいません。あなたの鼻と舌、脳みそを総動員し、日本酒の味の言語化パズルを組み立ててください。
『 日本酒を味わう 』にでてきた表現語彙のすべてを書いていません。紹介しきれない言語が、まだまだたくさん本には、河に残る砂金のように残っています。
日本酒を実際にティスティングする
『 日本酒を味わう 』を読んで、日本酒の知識をふかく知り、日本酒の香りと味の表現語彙を学んだと思います。しかし、日本酒は読むものではなく、飲み味わうものだと思うのですよ。
『 日本酒を味わう 』で紹介された日本酒を飲み、田崎 眞也さんのテイスティングと比べる必要があります。しかし、ここで大問題が起こります。『 日本酒を味わう 』の弱点でしょう。毎年毎年、日本酒の味は微妙に変化します。つまり、田崎 眞也さんのティスティングと微妙にちがってくる日本酒もありました。そして、すこし前の本なので、名前が変わったのか、見つけることができない日本酒の銘柄がおおいです。
『 日本酒を味わう 』でティスティングしていた銘柄で、Amazonで買うことができた3本をティスティングしました。
宗玄 純米酒
生クリームのような香り、あるいはバニラエッセンスを含んだバタークリームのような香りです。一般的にこのような香りがする酒は、クリーミーな味わいで、バランスがいい酒と思って間違いありません。ここがテイスティングのポイントです。
宗玄 純米酒の味わいは旨み、酸味がすべてこぢんまりとまとまり、バランスがとれている。苦味が少ないので、味わいもなめらかで余韻もクリーミー、酸はしっかりしています。
参考:日本酒を味わう
ここがテイスティングのポイントと言われていた宗玄 純米酒。
発酵の弱い甘酒のような香り、マイルドでフルーティーな甘さを感じます。まろやかで飲みやすい口当たり、辛口と甘口の中間に感じますが、やや甘口にかたむいている気がします。ふくよかな旨みがクリーミーです。
たしかに、こぢんまりとバランスよくまとまっています。甘めで飲みやすい日本酒。
梅錦山川 梅錦 つうの酒
精米歩合が下がってくるので、きれいな香りですね。チーズやバターなどの香りは少なく、ミネラルやスパイスの香り、そしてフルーツの香りが立ち昇ります。鉱物質的な香りも強い。味わいは、甘味も旨みも少なく、アルコールからくる苦味が非常にシャープです。
引用元:日本酒を味わう
苦味ときくと悪いイメージを思いうかべませんか?苦味を田崎 眞也さんは肯定的にとらえています。
ドライな味わいは、苦味がなければこれほど辛口には感じられないはずです。
参考:日本酒を味わう
マンゴスチンのような爽やかな果実の香り。苦味があり非常にシャープな口当たりです。パッサリとキレのある後味は爽快感があります。すこし冷蔵庫にいれ、冷やしておくと飽きることなく毎晩飲みたくなる日本酒。
一ノ蔵 無鑑査本醸造 超辛口
白玉粉、マシュマロという香りが強いです。
純米酒は、普通酒、本醸造などと比べると、しっかりした酒が多いです。この一ノ蔵 無鑑査本醸造 超辛口もその例にもれず、強くふくよかな旨みがあります。
参考:日本酒を味わう
白玉、マシュマロの香りというよりも、ヨーグルトと甘酒の中間の発酵した香りと、青りんごのような酸味のある香りがあります。いや、もしかしたら、この香りが白玉でマシュマルなのでしょうか?
乳酸のきいている強くふくよかな旨み、りんご果汁とブドウ果汁が発酵したような華やかな香りが残りました。
熱燗にすることで、香りがパッとひらきます。
田崎 眞也さんの表現とくらべると、つたなさが目立ちますね。こればかりは、これから日本酒をたくさん飲み、テイスティングを重ねるしかありませんね。
『 日本酒を味わう 』では、常温、冷蔵、熱燗の楽しみかたも書いています。つまり、日本酒1本で、3回のテイスティングができるのです。常温と冷蔵、熱燗のテイスティングを繰りかえすことで、じぶんの好みのようなものが、白濁した日本酒の彼方に見えてきます。
わたしの好みとしては、すこし冷蔵し、辛口、ドライで、日本刀のようなスパッとした切れのある日本酒が好みです。あなた好みの日本酒を探すのは、愉しいものですゾ。
『 日本酒を味わう 』を読んだ感想【 まとめ 】
『 日本酒を味わう 』を読みました。さまざまな要因で香りと味がかわってくる日本酒。香りと味のちがいを、世界一になったソムリエが詳しく丁寧に優しく教えてくれました。
読んでいるだけで、日本酒の香りと味を表現する語彙が増えます。「おいしい」「のみやすい」だけでなく、いろいろな語彙で日本酒の香りと味を表現できるよう修行中です。
『 日本酒を味わう 』を読めば、酒席で日本酒の香りと味をソムリエのように表現できるようになり、まわりの人達から、日本酒ソムリエとあなたは呼ばれるかも。
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